コラム記事

多発型の円形脱毛症とは?多発型円形脱毛症の症状や原因、取るべき食事を紹介

円形脱毛症は放っておくと悪化する可能性のある脱毛症です。特に2箇所以上発生する多発型の円形脱毛症は、脱毛斑がつながってより大きな脱毛班になる場合もあります

初めて多発型の円形脱毛症を発症すると、
「そもそも円形脱毛症なのか」
「正しい治療法はどれなのか」
と誰でも不安を感じます。

円形脱毛症の発症率に関して、日本皮膚科学会によると以下のような見解が示されています。

円形脱毛症の頻度は人口の1~2%と推測され、この頻度は日本のどこでも、また米国でも同じで、社会情勢が変わっても変わりません。

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「脱毛症 Q7」

多発型の円形脱毛症は自己流の間違った治療ではなく、自分に最適な治療を受けるのが改善のポイントです。

この記事では、円形脱毛症の中でも2箇所以上の脱毛班が発生する「多発型の円形脱毛症」について解説していきます。

【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
リバイブAGAクリニック総院長 内富 一仁

東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。

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多発型の円形脱毛症とは?症状について

多発型:2つ以上の脱毛斑が同時または連続して現れる

円形脱毛症とは脱毛斑(髪の毛の一部が円形に抜け落ちた跡)が発現する後天性脱毛症のことです。

頭部での円形脱毛症は以下の5つに分類されます。

  1. 単発型
  2. 多発型
  3. 蛇行型
  4. 全頭型
  5. 汎発型

上記のうち多発型の円形脱毛症とは、円形脱毛斑が「2つ以上発症している」脱毛症です。

一般的に、発症前には自覚症状はほとんどありませんが、脱毛前に軽いかゆみや違和感、赤い隆起があらわれることがあります。多発型の円形脱毛症を放置すると、脱毛斑が拡大・結合したり、再発を繰り返したりする可能性があります。

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単発型の円形脱毛症との違い

脱毛症の原因

単発型の円形脱毛症は、老若男女問わず多くの方が発症する脱毛症です。

発症した人の内、多くの方が1年以内に治癒するといわれています。ただし、単発型を発症した方の中には「多発型」に移行する場合があります。
一方で多発型の円形脱毛症は脱毛斑が2つ以上のもので、個人差はあるものの、完治まで数年かかるといわれています

多発融合型の円形脱毛症との違い

多発型と多発融合型の違い

多発融合型の円形脱毛症は、多発型の円形脱毛症の脱毛斑がさらに結合・拡大した状態です。

多発型は脱毛斑が各所にあらわれるのに対し、多発融合型は脱毛斑が徐々に結合して大きな状態になります。そのまま症状が進むと、頭髪が完全に抜け落ちてしまう「蛇行型」「全頭型」に移行します。

多発融合型は多発型から全頭型への移行段階といえます。

多発型の円形脱毛症は何科を受診するべきか

クリニック

多発型の円形脱毛症は皮膚科で診察を受けられます。

中には「早く治したい」「一刻も早く今より良い状態になりたい」とセルフケアを始める方もいます。しかし、多発型の円形脱毛症は状態や年齢、性別などによって治療法が異なるので、セルフケアでなく病院での治療を検討すべきです。

頭皮も皮膚のため、皮膚科もしくは薄毛治療の専門クリニックに行けば円形脱毛症の専門知識を持つ医師が在籍しています。まずは専門医に相談し、適切な診断を受けましょう。

公開日:

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多発型の円形脱毛症の発症原因・要因

円形脱毛症を繰り返す原因

多発型円形脱毛症の発症には様々な原因・要因が挙げられます。特に代表的なものが以下の3つです。

  1. 疲労・精神的ストレスがきっかけの自己免疫疾患
  2. 遺伝的な要因
  3. アトピー素因

①疲労・精神的ストレスがきっかけの自己免疫疾患

自己免疫疾患のメカニズム

多発型の円形脱毛症の発症には自己免疫疾患が要因の一つとされています。自己免疫疾患とは、免疫機能に何らかの異常が生じ、自分自身の細胞が侵される病気のことです。

多発型の円形脱毛症の場合は、毛根が血液に存在する「Tリンパ球」に異物と間違えて侵されることで発症すると考えられています。

また、多発型の円形脱毛症は他の自己免疫疾患と併発するケースがあります例えば、「甲状腺疾患は約8%、尋常性白斑は約4%の合併率を有する」ともいわれています。

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「脱毛症 Q7」

心身が疲れていると風邪を引きやすいように、「自己免疫機能」は疲労や精神的ストレスがきっかけで低下します。日常的に身体に疲れを溜めないことや、ストレスを受け続けない対策をすることが大切です。

②遺伝的な要因

遺伝

次に、多発型の円形脱毛症は遺伝的な要因があるとされています。「円形脱毛症を発症した患者の内、2割程度が家族内発生」という結果も出ています。

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「脱毛症 Q7」

③アトピー素因

アレルギー

多発型の円形脱毛症の発症にはアトピーも関係しています。アトピー素因とは、以下のいずれかに当てはまる方のことをいいます。

  • アトピー性皮膚炎
  • 気管支炎
  • アレルギー性鼻炎  

アトピーの肌質がある場合は、4〜5人に1人が円形脱毛症患者と、一定の相関が見られています。アトピーも多発型の円形脱毛症と同じく、まずは皮膚科で医師の判断を仰ぐことが望ましいです。少しでも不安を感じたら、まず皮膚科を受診しましょう。

患者200例のうち、患者本人や家族にアトピー素因があるものが108例(54%)、患者本人にアトピー素因があるものが82例(41%)、アトピー性皮膚炎の合併は46例(23%)にみられた

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

アトピーだと円形脱毛症になりやすい?アトピー素因と脱毛症の関係

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実は「精神的ストレスが発症の原因」は根拠が少ない

ストレス

精神的ストレスが多発型の円形脱毛症発症の直接的な原因とするのは、実は医学的な根拠がしっかりとありません。

前述した通り、「ストレスがきっかけ」といわれる自己免疫疾患は、円形脱毛症の発症原因のひとつとされています。また、ストレスによりホルモンバランスが乱れて、薄毛を悪化させる原因になる場合もあります。

このように、「精神的ストレス」は多発型の円形脱毛症の発症に間接的に起因していますが、精神的ストレスだけが発症の原因となることは考えにくいでしょう。

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多発型の円形脱毛症の治療法

治療法

多発型の円形脱毛症に用いられる代表的な治療法を紹介します。

名称ステロイド局所治療法 局所免疫療法内服・外用療法紫外線療法
メリット多発型を含めたすべてのタイプに使用できる・多発型の円形脱毛症の治療法として最もメジャーで有効性が高い
・子どもにも使用できる
・発症直後の多発型の円形脱毛症治療への有効性が高い
・手軽に治療できる
・アトピー性皮膚炎、重度の円形脱毛症の方も治療できる
デメリット(副作用)脱毛が広範囲の場合、注射回数が増える・自費診療
・アトピー性皮膚炎、湿疹、じんま疹がある人は、一時的に症状が悪化する場合がある
中度〜重度の方には向かない継続して数回の治療を受ける必要がある
副作用萎縮、疼痛、血管拡張などかぶれやじんま疹、リンパ節腫脹など服用する薬によってめまいや動機など肌の炎症からくるヒリつき、やかゆみ、水ぶくれなど
ウィッグ・かつらの使用
症状に直接効果はないものの、紫外線・外傷予防および日常生活における精神的安定などに有用

治療中の状態による

それぞれ詳しく解説していきます。

ステロイド局所治療法

メソセラピー

「ステロイド局所治療法」は脱毛斑にステロイドを注射器で直接注入する治療法です。

ステロイドには炎症を抑える効果があり、脱毛範囲が頭部全体25%未満の単発型・多発型の患者への使用が推奨されています。

ただし、脱毛が広範囲に及ぶ場合は、その分注射回数も増えます。また、ステロイド剤特有の局注部位に萎縮、疼痛(とうつう)、血管拡張などの副作用があらわれる場合もあります。

局所免疫療法

多発型の円形脱毛症の治療法として最もメジャーなのが「局所免疫療法」です。局所免疫療法は、かぶれを起こす特殊な薬剤を脱毛斑部分に塗って発毛を促す治療法です。

有効性の高い治療法であり、日本皮膚科学会ガイドラインでも治療の第一選択肢として行うように勧められています。

年齢を問わず,S2 以上の多発型,全頭型や汎発型の症例に第一選択肢として行うよう勧める.

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

しかし、日本では保険適応の認可がおりていないため「自費診療」となります。個人差はあるものの、治療期間は長期に渡ってじっくり取り組む必要があります。

内服・外用療法

ステロイド

まだ始まったばかりの多発型の円形脱毛症の治療には、「内服・外用療法」の効能も確認されています。

内服療法は内服薬を服用して治療する方法で、「錠剤タイプの飲み薬」が多いです。

また、外用療法は「軟膏」などの外用薬を用いて治療します。

例えば、代表的な薬は以下のようなものがあります。

【内服薬(飲み薬)】

  • ステロイド内服
  • ミノキシジル内服
  • 抗ヒスタミン薬
  • セファランチン

【外用薬(軟膏など)】

  • ステロイド外用
  • ミノキシジル外用

内服・外用療法を試してみて変化が見られなかった場合は、他の治療法に切り替えます。

紫外線療法

「紫外線療法」は一般的な治療が行いにくいアトピー性皮膚炎の方や、重度の円形脱毛症の方などに用いられる治療法です。

紫外線療法は、免疫反応を抑える作用がある紫外線を照射して発毛を促す治療法です。代表的なものには、PUVA 療法・エキシマライト・narrow-band UVB療法などがあります。

個人差はあるものの、数ヶ月にわたって継続した照射が必要となります。

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多発型の円形脱毛症に推奨されていない治療

NG

多発型の円形脱毛症におすすめできない治療法は、以下の通りです。

  • ビタミンD外用療法
  • 鍼灸治療
  • アロマテラピー
  • 心理療法など

これらはすべて医学的な検証が十分でないため、治療法としては推奨できません。

ただし、心理学療法については精神的ストレスや苦痛を和らげる目的で取り入れるのは良いでしょう。

多発型の円形脱毛症の人が食事で意識したいこと

健康的な食生活

多発型の円形脱毛症の治療は、皮膚科を受診すると同時に自宅でのケアも欠かせません。特に髪に必要な栄養素が取れる食事は重要です。

ここでは、多発型の円形脱毛症の方が取ると望ましい食事について解説していきます。

取るべき食事

食生活の改善

まず、多発型の円形脱毛症に良いとされている主な食べ物は以下の通りです。

栄養素食べ物
タンパク質鶏肉、卵、大豆
亜鉛生牡蠣、豚レバー、牛ももなど
ビタミンA豚レバー、うなぎ蒲焼き、にんじんなど
ビタミンB玄米、レバー、マグロなど
ビタミンCアセロラ、パプリカ、キウイなど
ビタミンEアーモンド、うなぎ、たらこなど

これらは髪の毛の主要な構成成分です。

円形脱毛症の発症の原因のひとつに挙げられる「自己免疫疾患」ですが、実はこの免疫系のコントロールには自律神経が大きく影響しています。

自律神経を整えるためには栄養に偏りがない、バランスの良い食事をすることが必須です。

悪化を防ぐためにも、すぐにでも食事を見直してみましょう。

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控えるべき食事

脂質の多い食事

食事はすべて身体にとって必要な栄養素ですので、必ずしも悪いものではありません。

しかし、脂質の摂り過ぎには注意が必要です。

脂質を摂りすぎると、身体が体内から余分な脂を排出しようとするため、皮脂の分泌が活発になります。頭皮の毛穴からも皮脂が分泌されるため、髪の毛がベタつき、頭皮環境が悪化する可能性があります。

毛穴に皮脂が詰まると、毛根が弱く抜けやすい髪の毛しか生えてこなくなるため、脂質の多い食事は控えましょう。

多発型の円形脱毛症の治療において知っておくべきこと

治療において知っておくべきこと

多発型の円形脱毛症の治療を受ける際に心に留めておきたいことも確認しておきましょう。

  1. 多発型の円形脱毛症の治療期間は数年かかる
  2. 脱毛斑の小さいモノであれば自然治癒もできるが医師と要相談
  3. 円形脱毛症は繰り返し発症する可能性がある

①多発型の円形脱毛症の治療期間は数年かかる

円形脱毛症が治るまでの期間

まず、多発型の円形脱毛症の場合、適切な治療を行っても完治まで半年〜2年ほどかかります。

頭皮の状態には個人差があるため、脱毛範囲が広い方は治療期間がさらに必要になる場合もあります。

なるべく早く着実に治していきたい方は、治療とあわせて、食生活を整えるなど自分でできる対策にも取り組みましょう。

②脱毛斑の小さいモノであれば自然治癒もできるが医師と要相談

医師と相談

多発型の円形脱毛症の治療は、医師と相談してから開始することが大切です。

脱毛斑が小さい場合であれば自然治癒できる場合もあります。しかし、脱毛斑が小さいからと放置していると範囲が広がる可能性もあります。

多発型の円形脱毛症を発症した際は、まずは皮膚科や専門機関へ相談しましょう。

③円形脱毛症は繰り返し発症する可能性がある

女性のAGA(FAGA)

円形脱毛症の要因は遺伝や自己免疫疾患などが考えられるため、繰り返し発症する可能性があります。疲労や精神的ストレスがきっかけによる自己免疫疾患は、生活習慣に大きく起因しています。

体質によっては薬剤では改善できない場合もあるため、円形脱毛症は繰り返し起こる可能性があります。

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まとめ|多発型の円形脱毛症は専門医に相談を

医師

多発型の円形脱毛症は放置していても完治しづらいと言われています。発症には遺伝や合併症などが大きく影響している場合もあります。

多発型の円形脱毛症は早期発見・早期治療が改善のポイントです。

複数の治療法を併用することも可能なので、医師と相談しながら自分に合った方法で改善を目指していきましょう。

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