コラム記事

全身脱毛症(汎発性脱毛症)とは?原因や治療法など紹介|男性・女性・子供関係なく発症の可能性あり

全身脱毛症(汎発性脱毛症)は、改善しにくいタイプの円形脱毛症として知られています。性別や年齢に関係なく発症します。

現時点で明確な原因は分かっていませんが、発症リスクを高める要因については、少しずつ明らかになりつつあります。

全身脱毛症の発症リスクを高める要因や、治療法などについて解説します。

【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
リバイブAGAクリニック総院長 内富 一仁

東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。

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全身脱毛症(汎発性脱毛症)とは

円形脱毛症

全身脱毛症(汎発性脱毛症)は、円形脱毛症の一類型として知られています。

円形脱毛症は10円ハゲと呼ばれることもあるため、硬貨大の脱毛斑(だつもうはん・抜け毛が起こった箇所)をイメージされる方も多いのではないでしょうか。

円形脱毛症にはさまざまな種類があり、脱毛斑の大きさや数は人によって異なります。円形脱毛症の症状は、悪化と回復を繰り返しながら、徐々に重症化していくケースもあります。

全身脱毛症にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。

  • 陰毛や眉毛なども脱毛する円形脱毛症の最も重篤な進行状態
  • 男性・女性・子供関係なく発症の恐れあり

陰毛や眉毛なども脱毛する円形脱毛症の最も重篤な進行状態

円形脱毛症の最も重篤な進行状態

全身脱毛症(汎発性脱毛症)は円形脱毛症の一種ですが、円形脱毛症の進行状態の中で、最も重篤な進行状態として知られています。全身脱毛症は髪の毛だけでなく陰毛や眉毛、まつ毛といった全身の抜け毛が特徴的です。

円形脱毛症は大きく分けると、次の5つに分けられます。

円形脱毛症の種類
  • 単発型
  • 多発型
  • 蛇行型
  • 全頭型
  • 汎発型(汎発性脱毛症)

単発型の円形脱毛症はいわゆる10円ハゲと呼ばれるタイプで、円形もしくは楕円形の脱毛斑が1カ所見られることを指します。10円ハゲが複数見られる例が多発型で、単発型から移行するケースもあります。全頭型になると頭部全体に抜け毛が見られます。

そして、最も重症例の円形脱毛症が全身脱毛症(汎発性脱毛症)です。日本皮膚科学会の円形脱毛症ガイドラインによると、脱毛の範囲が25%を越えた場合が重症とされています。その場合、かつらやウィッグなどを利用し、長期的な治療を続けていく必要があります。

参照:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

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男性・女性・子供関係なく発症の恐れあり

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全身脱毛症状(汎発性脱毛症)は、性別や年齢に関係なく発症することが特徴です。

発症する方の4人に1人が15歳以下であり、未成年であっても全頭型の円形脱毛症や、全身脱毛症を発症するケースがあります。

男女や子供で、それぞれ発症の原因の違いはわかっておりません。治療法に関しても性別や年齢ではなく、進行の状態別で適用されることがあります。

参照:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

全身脱毛症(汎発性脱毛症)の原因

脱毛症の原因

全身脱毛症(汎発性脱毛症)をはじめ、円形脱毛症に関しては、現在も明確な原因が分かっていません

現状では下記4つが主な原因だと考えられています。

  • 自己免疫疾患
  • 遺伝
  • アトピー
  • ストレス

近年になって有力となってきている「自己免疫疾患説」を中心に全身脱毛症(汎発性脱毛症)の発症リスクを高める要因となり得る原因について解説します。

自己免疫疾患

自己免疫疾患のメカニズム

全身脱毛症(汎発性脱毛症)を始めとした円形脱毛症の原因として、自己免疫疾患が主な要因として考えられています。

自己免疫疾患とは、本来であれば私たちの身体を守るべき免疫機能によって、私たち自身の細胞が侵される疾患を意味します。

全身脱毛症(汎発性脱毛症)の場合、外部からの侵入者を攻撃するはずの免疫系が、頭髪や体毛の毛包を侵し始めます。その結果、健康なはずの頭髪や体毛が抜けて脱毛斑ができ始めます。

自己免疫疾患では、甲状腺機能低下症(橋本病)や全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチがよく知られています。それらの自己免疫疾患と、全身脱毛症(汎発性脱毛症)を併発するケースも珍しくありません。

遺伝 

遺伝

全身脱毛症(汎発性脱毛症)を引き起こす原因として、遺伝の存在も挙げられています。

親と子では骨格や顔立ちが似通っていますが、抜け毛を引き起こすような体質も受け継がれるのではないかと考えられています。

中国で行われた調査によると、円形脱毛症を発症している方のおよそ8%が、同じ症状を抱えた近親者を持つと報告されています。

参照:The genetic epidemiology of alopecia areata in China

欧米で行われた調査でも、両親が円形脱毛症を発症している場合、祖父母や兄弟姉妹が円形脱毛症を発症している場合と比べ、発症リスクが10倍にも跳ね上がるといった報告もなされています。

参照:The genetic risk for alopecia areata in first degree relatives of severely affected patients. An estimate

これらの調査から、全身脱毛症(汎発性脱毛症)の発症には、遺伝がある程度は影響しているのではないかと考えられています。

参照:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

アトピー素因

アレルギー

全身脱毛症(汎発性脱毛症)を始めとした円形脱毛症には、アトピー素因が深く関わっていると考えられています。

アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎といった疾患を自分自身、もしくは家族が持っていることを意味します。アトピー素因はある程度、遺伝によって受け継がれると考えられています。

そのため、自分自身や家族が上記の疾患を持っている場合、全身脱毛症(汎発性脱毛症)の発症リスクも高くなるのです。実際に、円形脱毛症を発症する患者200例のうち以下のような調査結果もでています。

患者本人に アトピー素因があるものが 82 例(41%)

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

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ストレス

ストレス

「円形脱毛症といえばストレスが原因」と考える方も多いでしょうが、実はストレス事態に直接的な因果関係はないとされています。

ただし、円形脱毛症の患者様は精神的ストレスを合併しているケースが多いことも事実です。

現在では、強いストレスにより自己免疫疾患を起こし、円形脱毛症を発症するのではという考えが一般的です。

全身脱毛症(汎発性脱毛症)とは?原因や治療法など紹介|男性・女性・子供関係なく発症の可能性あり

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全身脱毛症(汎発性脱毛症)の回復率は低い

確率

全身脱毛症(汎発性脱毛症)を発症した場合、回復率は低いです。軽症例である単発型円形脱毛症の場合、およそ80%の方が1年以内に回復するとされているのに対し、円形脱毛症の患者について以下のように考えられています。

14%~25%は全頭型や汎発型へ移行し、その場合には回復率は10%以下

引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

また、円形脱毛症は再発の可能性も高く、再発のたびに重症化するケースもあります。

実際、円形脱毛症の症状が回復したとしても、およそ14%から25%の方が、全頭型円形脱毛症もしくは全身脱毛症(汎発性脱毛症)へと進行するといったデータがあります。

基本的に円形脱毛症は、脱毛範囲が狭いほど予後は良好です。しかし、脱毛が全身に進行した場合や、15歳未満で発症した場合、回復率は低いとされています。

全身脱毛症(汎発性脱毛症)の治療法

治療法

円形脱毛症は、発症初期の治療の開始で早期の回復が期待できます。

全身脱毛症(汎発性脱毛症)を始めとした円形脱毛症を発症した場合、次の5つような治療を行うのが一般的です。

  • ステロイド投薬
  • 局所免疫療法
  • 紫外線療法
  • 外用剤療法
  • 冷却療法

ステロイド投薬

ステロイド

円形脱毛症の治療法の一つとして、ステロイド製剤による治療が挙げられます。

ステロイド投薬は大きく分けて、外用薬の使用、内服薬の服用、およびステロイドパルス療法の3パターンに分類されます。

単発型円形脱毛症など、脱毛範囲が狭く、かつ進行速度が遅い場合には、ステロイド外用薬を利用しながら、経過を観察するのが一般的です。全身脱毛症(汎発性脱毛症)の場合はステロイドの外用では効果が期待できません。その場合、ステロイド製剤の内服、およびステロイドパルス療法が検討されます。

ステロイドパルス療法は、内服薬の10倍から20倍量のステロイドを、短期集中的に投与する治療法です。ステロイドのはたらきで免疫反応を抑制し、円形脱毛症を改善する効果が期待できます。

ただし、ステロイドを長期間にわたって投与した場合、糖尿病やムーンフェイス(満月様顔貌)の副作用のリスクが高くなります

参照:脱毛症[円形脱毛症]│標準医療情報センター

局所免疫療法

局所免疫療法も、円形脱毛症の治療法としてよく知られています。

スクアリック酸(SADBE)などを利用して、頭皮にわざとかぶれを起こすのが局所免疫療法の特徴です。かぶれを起こした場所では、円形脱毛症の原因となる免疫反応が抑制されるため、毛根の再生が促されます。痛みをともなわない治療であるため、子どもでも安心して治療を受けられる点がメリットです。

一般的に、局所免疫療法を行う場合には、ステロイド製剤を併用しません。そのため、副作用のリスクが低い点もメリットです。ただし成人と比べ、子どもの場合はそれほど高い効果を期待できないといった問題点もあります。

参照:脱毛症[円形脱毛症]│標準医療情報センター

局所免疫療法は使用する薬剤が健康保険の対象外のため、自費診療となります。

紫外線療法

全身脱毛症(汎発性脱毛症)や、全頭型の円形脱毛症に対しては、「PUVA療法」と呼ばれる紫外線療法が行われるケースもあります。

PUVA療法においては、ソラーレン(Psolaren)と呼ばれる薬剤を脱毛部位に塗布したのち、波長の長い紫外線(UVA)を照射します。ソラーレンを内服したうえで、紫外線を照射する治療法の場合は入院が必要です。

皮膚を損傷するリスクがあるため、子どもの円形脱毛症への治療は注意して行う必要があります。

また、紫外線療法は保険の適用が対象外の治療法です。

外用剤療法

ミノキシジル外用療法

円形脱毛症の治療には、外用剤(塗り薬タイプの治療薬)が用いられるケースもあります。代表的な外用剤としては、以下の3つです。

  • ステロイド外用薬
  • 塩化カルプロニウム外用薬
  • ミノキシジル外用薬
ステロイド外用薬内服タイプのステロイド剤と同様に、円形脱毛症の原因となる免疫反応を抑制する作用が期待されている。
国内でも治療例が多数あり、有効性が確認されている治療法の1つ。
塩化カルプロニウム外用薬市販の育毛剤などにも含まれている成分で、強い血管拡張作用を持つのが特徴。
頭皮に塗布すると、頭皮下の毛細血管が拡張され、髪の毛の成長を促す効果が期待されている。
ミノキシジル外用薬男性の薄毛であるAGAに対して効果があると、厚生労働省によって認可された数少ない有効成分の1つ。
塩化カルプロニウムと同様、ミノキシジルにも血管を拡張し、血液の循環を促す作用がある。
発毛シグナルを促進する効果も期待されており、円形脱毛症に対しても有効だと考えられている。

冷却療法

ドライアイス

冷却療法は、ドライアイスや液体窒素を脱毛部位にスプレーしたり、脱脂綿などで湿布したりする治療法です。冷却療法には、脱毛部位に見られる免疫反応を抑制し、発毛を促す効果が期待されています。

局所免疫療法ほどの効果は期待できないですが、痛みが少なく簡単に行える治療法であり、副作用のリスクが低い点もメリットです。その他の治療法と併用して、冷却療法を行うケースもあります。

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全身脱毛症(汎発性脱毛症)について知っておくべきこと

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原因や治療法以外に、全身脱毛症(汎発性脱毛症)について知っておくべき3つのことについて解説していきます。

  • かつらの着用は治療に影響ない
  • 鍼灸治療は有効的な治療方法ではない
  • 全身脱毛症(汎発性脱毛症)は難病指定されておらず署名活動が行われている

単発型の円形脱毛症とは異なり、全身脱毛症(汎発性脱毛症)は治療に要する時間が長く、根気良く付き合っていく必要があります。

 エビデンスのない対策や噂に惑わされず治療に取り組むことをおすすめします。

かつらの着用は治療に影響ない

ウィッグ

全身脱毛症(汎発性脱毛症)の治療を行う場合、かつらを着用しても治療には影響がありません。むしろ有害な紫外線から頭皮を守ってくれるため、医師がかつらの着用を推奨することもあります。

全身脱毛症(汎発性脱毛症)を発症すると、頭髪が抜け落ちてしまうため、他人の視線が気になるケースもあります。そのような場合にかつらを着用すると、精神的な安定を得られるといったメリットもあります。

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鍼灸治療は有効的な治療方法ではない

鍼灸治療

東洋医学を基礎とする鍼灸院の中には、鍼療によって円形脱毛症が改善できると宣伝しているところもあります。しかし、鍼療による円形脱毛症の改善に関しては、現在のところエビデンス(科学的な根拠)がありません

円形脱毛症診療ガイドラインの中では、医学的な評価水準に達するほどの施術例がないため、行わない方がよい治療法に分類されています。

参照:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」

全身脱毛症(汎発性脱毛症)は難病指定されておらず署名活動が行われている

難病

円形脱毛症の程度や進行速度は人それぞれですが、全身脱毛症(汎発性脱毛症)を発症した場合、完治する確率は極めて低いです。

2007年の9月に設立された円形脱毛症患者協会では、円形脱毛症に苦しむ患者やそのご家族を支援し、難病として認めてもらえるように署名活動を行っています。

まとめ|全身脱毛症(汎発性脱毛症)は専門医に相談を

医師と相談

全身脱毛症(汎発性脱毛症)は円形脱毛症のなかでも、最も重篤な進行状態で、かつ根治する確率が非常に低いです。再発の可能性も高く、その度に重症化するケースもあります。

専門医とともに発症の原因を探り、自分に最適な治療を受けることが大切です。円形脱毛症にお悩みの方は、気軽に皮膚科や専門のクリニックを受診しましょう。

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