自毛植毛は、薄毛に悩む多くの方々にとって効果的な治療法の一つです。
しかし、植毛部分以外の薄毛が進行すると、不自然な見た目になることがあります。
これは、特に将来の薄毛進行を見越しての施術が計画されていない場合に顕著です。
このコラムでは、その原因と具体的な対策方法について詳しく解説します。
自毛植毛後に不自然な状態が起こる原因
例えば、生え際のM字部分に自毛植毛をしたケースでは植毛部位の周辺にAGAが進行してしまい、植毛部分だけが陸の孤島のような状態に陥ることがあります。
実際に当院に上記のような理由でご相談にくるケースは非常多く、早めに対策を行わないと非常に不自然な見た目になってしまいます。
ではなぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか。原因について解説します。
1. 植毛部分の周辺にAGAが進行するケース
植毛部分はAGAの影響を受けにくいドナーエリア(一般的には後頭部や側頭部)から移植されるため、AGAの影響を受けにくいですが、移植されていない部分の毛髪は引き続きAGAの影響を受ける可能性があります。
そのため、将来的に植毛部分と非植毛部分の薄毛進行の差が目立つことがあります。
2. 事前カウンセリングでの説明不足
事前カウンセリングが不十分である場合、将来の薄毛進行を十分に予測できないまま植毛手術が行われることがあります。
患者の家族歴や現時点での薄毛の進行度、生活習慣などを詳細に把握しないまま施術を行うと、後に不自然な状態が生じる可能性が高まります。
3. 生活習慣の見直しがされていない
ストレス、不規則な生活習慣、栄養不足などはAGAの直接的な原因にはなりませんが、毛髪の健康を含む様々な健康問題の原因となります。
植毛手術後は頭皮が非常にセンシティブな状態にあるため、生活習慣についても細心の注意を払い健康的な頭皮状態を維持していくことが大切です。
4. 不適切な施術技術
施術技術が不十分な場合、植毛された部分の密度が高すぎたり低すぎたりすることがあります。
これにより、不自然な見た目になることがあります。
また、施術後の頭皮は非常に繊細な状態になっている為、ケアが適切でないと毛髪の成長が阻害されることもあります。
また、自毛植毛はハイリスクな治療であることも充分に考慮が必要です。
下記は人口毛植毛のトラブル事例ですが、自毛植毛でも思うように生着しない・傷跡が目立つ・仕上がりが不自然など様々なトラブルが起こりえます。
引用元:日本皮膚科学会雑誌 131巻(2021)3号
不自然な状態になることを防ぐ対策方法
せっかく高額な自毛植毛を行ったにも関わらず、不自然な状態になってしまっては本末転倒です。
では、そのような状況を回避するにはどのような対策が必要でしょうか。解説してまいります。
1.植毛前に元来のAGA治療を検討してみる
薄毛治療において、自毛植毛は最終選択肢の位置づけと考えます。
現在は元来のAGA治療も進化を遂げており、原因の追究や効果的な改善が可能となっております。
植毛手術も技術は進歩しておりますが、そもそもドナーエリアの髪質とM字部分など植毛の需要が多い部分の髪質には違いがあります。
植毛自体部分周辺に薄毛が進行した場合の不自然さだけではなく、そもそも植毛した部分が不自然になることも多く見受けられます。以降のメンテナンスや定着するまでの不安定さについても考慮しなければなりません。
その為、植毛に挑むにはそれなりの覚悟が必要と言えます。
これは毛髪以外にも言えることですが、自前の髪に勝るものはありません。植毛という大きな選択をする前に一度元来のAGA治療を行ってみることを強くおすすめします。
2. 事前に綿密なカウンセリングと治療計画の説明を受ける
自毛植毛を行う前に、将来的な薄毛の進行を見越した綿密なカウンセリングと計画が重要です。
専門医と十分に相談し、患者の薄毛の進行パターンを予測し、それに基づいて施術計画を立てることが重要です。具体的には、以下のようなポイントをカバーすることが求められます。
家族歴や進行度の確認:遺伝的要因を考慮するために、患者の家族に薄毛が多いかどうかを確認します。また、軟毛化が多いエリアを十分に診察し、薄毛の進行状況をしっかり把握した状態で行うことが大切です。
将来の薄毛進行予測:現時点の薄毛の進行度やパターンをもとに、将来の薄毛進行を予測し、適切な施術計画を立てます。既に植毛部分以外にも顕著な薄毛の兆候がある場合には注意が必要です。
3. 定期的なメンテナンスとフォローアップ
自毛植毛後も、定期的にクリニックを訪れ、専門医のフォローアップを受けることが重要です。
これにより、薄毛の進行を監視し、必要に応じて追加の治療や調整を行うことができます。
例えば、植毛部分の経過観察や新たな薄毛部分への対応策を検討することができます。
4. 健康的な生活習慣の維持
ストレス管理や栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠など、健康的な生活習慣を維持することも重要です。これにより、植毛後の毛髪の健康を保ち、薄毛の進行を遅らせることができます。
具体的な方法としては、以下のような点に注意します。
バランスの取れた食事:ビタミンやミネラル、タンパク質をバランスよく摂取することが大切です。具体的には、乳製品、肉類、魚介類、卵、大豆製品と、ビタミン豊富な緑黄色野菜のほか、海藻、ごま、ナッツなどがあげられます。
ストレス管理:適度な運動や趣味の時間を確保し、ストレスを溜め込まないようにします。
十分な睡眠:毎日7~8時間の質の良い睡眠を心がけることが重要です。
5. 信頼できるクリニックの選択
しっかりとリサーチを行い、高度な技術と経験を持つ医師による施術を受けることが大切です。
最新の植毛技術やアフターケアを提供しているクリニックを選ぶことで、自然な見た目を実現しやすくなります。
例えば、FUE(Follicular Unit Extraction)やFUT(Follicular Unit Transplantation)などの最新技術を使用することで、より自然な仕上がりを期待できます。
また、近年自由診療領域で経験不足の医師によるトラブルが社会問題となっております。
特に植毛手術のような侵襲の大きな治療の場合はその点もクリニック選びで注意が必要です。
まとめ
自毛植毛は、薄毛に対する有効な治療法ですが、植毛部分以外の薄毛が進行すると不自然な見た目になることがあります。
このコラムでは、その原因と具体的な対策方法を解説しました。
将来の薄毛進行を見越した計画と綿密なカウンセリング、定期的なメンテナンスなどがポイントとなります。
また、信頼できるクリニックでの施術や治療薬の併用も効果的な対策となります。
不自然な状態を防ぎ、自然な見た目を保つために、これらの対策をしっかりと講じることが大切です。
自毛植毛は薄毛治療の選択肢の中でも最終手段と言えるものです。また手術となりますので、不自然な状態になった場合取り返しがつかなくなってしまいます。
そのような選択をする前に、是非元来のAGA治療をご検討ください。