「円形脱毛症は何科を受診すべきか」
「治療法にはどんな種類がある?」
円形脱毛症は前触れなく発症するものであり、症状に気づいた時は驚きや不安な気持ちに襲われます。
病院にかかろうにも何科にかかるべきか迷う方が多いと聞きましたので、今回は円形脱毛症の診療科と治療内容をまとめました。
【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。
円形脱毛症は皮膚科もしくは薄毛治療の専門クリニックを受診しましょう
円形脱毛症の治療は通常、皮膚科で行われます。
一部では脱毛外来を設けている医療機関や、入院治療を行っている医療機関もあります。また近年は、円形脱毛症に理解のある薄毛治療のクリニックも増えてきました。
どちらを選択するかは患者様ご自身の判断となりますが、病院選びの際は「円形脱毛症に理解があるか」をチェックするといいでしょう。
円形脱毛症の専門外来はある?
円形脱毛症のみの治療を行う医療機関はないですが、円形脱毛症を得意とする病院は数多く存在します。
インターネットで「円形脱毛症 ◯◯(地域名)」と検索すると、該当の病院がヒットするはずです。
円形脱毛症で評判のいい病院を探したい|チェックすべきポイント
円形脱毛症が治るまでには早くて数ヶ月、患者様によっては治療が数年に及ぶ場合があります。
長く通う可能性を考えると、身近で頼りがいのある医師を探すことが大切です。かかりつけ医の探し方については、厚生労働省が以下のようにまとめています。
近くて通いやすい距離にあることはもちろん大切ですが、相談のしやすさや説明のわかりやすさも重視したいポイントです。
円形脱毛症は患者様によって症状が大きく異なり、年齢や体質に合わせた治療法が求められます。
治療実績や受けられる治療法などを詳しく掲載している医療機関も多いので、病院選びの参考にするといいでしょう。
そもそも円形脱毛症は病院に行くべき?治療しないとどうなる?
円形脱毛症は免疫系機能の誤作動によって健康な毛包が攻撃されるために生じるもので、髪や体毛以外には影響がないと考えます。
よって治療を受けなかったとしても、他の病気につながる心配はありません。
円形脱毛症によるストレスや不安がないのであれば、無理に治療を受ける必要はないでしょう。反対に「人目が気になる」「すぐに直したい」という気持ちが少しでもあるならば、早期に医療機関を受診することをおすすめします。
症状が軽度だと自然治癒が期待できる
軽度の円形脱毛症は、治療をしなくても自然に回復する可能性があると言われています。
自然治癒が見込める例で多いものには、
- 単発型である
- 脱毛斑が小さい
- 自己免疫疾患がない
- アトピー性疾患がない
などがあります。(※一例であり、自然治癒を断言するものではありません)
脱毛斑が目立たない位置にある、または患者様がそれほど気にしていなければ自然に治るのを待ってもいいでしょう。
体質によって症状が進行する可能性がある
欧米の研究機関が行った調査によると、円形脱毛症患者の14~25%は全頭型や汎発型へ移行したとの結果が報告されています。
重症化した場合の回復率は10%以下であるとも言われており、自然治癒しないケースがあることもわかっています。
中には再発を繰り返す患者様もいますし、体質的に円形脱毛症になりやすい方がいるのも事実です。
内臓機能への影響がない以上、治療をするかどうかの判断は患者様に委ねられます。しかし進行や再発の可能性を考えると、一度は医師に相談して予防策を講じるのがいいと考えます。
参考:Messenger AG, McKillop J, Farrant P, et al: British Association of Dermatologists’ guidelines for the management of alopecia areata 2012, Br J Dermatol, 2012; 166:916―926.
ストレスは円形脱毛症の原因ではない?
近年、円形脱毛症は自己免疫疾患やアトピー素因などが原因で発症するとの説が有力視されています。
長い間、円形脱毛症はストレスによって引き起こされるものと考えられてきました。しかし数々の研究結果からストレスは発症のきっかけとなるもので、直接的な原因ではないとの見方が強まっています。
とはいえ、ストレスが発症に関わる要因であることに変わりはありません。直接原因でないからといって、ストレス対策をしなくていい理由にはならないでしょう。
円形脱毛症を早く治すには早期の治療が有効
円形脱毛症にはさまざまな治療法があり、効果の現れ方も人それぞれです。
似た症状でも効果を実感できるケースとそうでないケースがあり、一人ひとりに合った治療が求められます。円形脱毛症に理解のある医療機関であれば、数ある治療法から自分に合った方法を選択できるでしょう。
円形脱毛症の早期改善を目指すには、詳しい医師のもと症状に合った治療を受けるのが第一歩となります。治るかどうかや予後への不安は、一人で悩まずに医師へ相談してください。
円形脱毛症の治療法一覧
以下は円形脱毛症の治療法の一例をまとめたものです。
種類 | 特徴 | 保険適用 |
ステロイド療法 | ステロイドで免疫反応を抑制する方法。外用・内服・局所注射がある | ◯ |
局所免疫療法 | 脱毛部位にかぶれを起こし免疫反応を抑制する方法。単発型〜汎発型まで幅広く行える | ◯ |
ステロイドパルス療法 | 静脈注射でステロイドを集中的に投与する方法。発症後6ヶ月以上が経過している場合には行えない | ◯ |
カルプロニウム塩化物の外用療法 | 血流改善作用のある薬を塗布する。単発型および多発型の併用療法に用いられる | ◯ |
抗ヒスタミン薬の内服療法 | アレルギー反応を抑える薬を服用する。塩化カルプロニウムとの併用で改善が認められる場合がある | × ※円形脱毛症の治療では自由診療となる |
セファランチン内服療法 | 抗アレルギー作用のある薬を服用する。単発型および多発型の併用療法に用いられる | ◯ |
ミノキシジル外用療法 | 発毛成分であるミノキシジルを塗布する。単発型および多発型の併用療法に用いられる | × |
紫外線療法 | 脱毛部位に紫外線を照射し免疫反応を抑制する方法。単発型〜汎発型まで幅広く行える | ◯ |
冷却療法 | 脱毛部位を冷却し免疫反応を抑制する方法。単発型および多発型への治療が推奨される | × |
円形脱毛症診療のガイドラインで推奨度が高い治療法を中心にまとめました。
上記以外にも抗うつ薬や漢方薬治療、鍼灸治療など数多くの治療法が存在します。
円形脱毛症の治療にまつわるよくある質問
円形脱毛症の治療について、患者様から多く寄せられるご質問と回答をまとめました。
Q.円形脱毛症で通院中ですがなかなか治りません。病院を変えた方がいいですか?
信頼できる医師に診てもらうのも一つの選択肢です。
円形脱毛症が治るまでには早い方で数ヶ月、重症化した症例では治癒までに数年かかる場合があります。すぐに治るものではないことを前提とした上で、今とは別の治療を選択するのも一つの方法です。
新たに病院探しをする際は、円形脱毛症に理解のある医師を探すことをおすすめします。
Q.子どもの円形脱毛症は小児科を受診した方がいいですか?
円形脱毛症の治療は皮膚科が専門なので、小児の患者様も皮膚科を受診しましょう。
Q.円形脱毛症の治療中にやってはいけないことはありますか?
日常生活での制限はありません。
ストレスに注意し、健康的な生活を心がけましょう。
Q.治療で治っても再発します。円形脱毛症を繰り返すのはなぜですか?
円形脱毛症の発症には自己免疫疾患やアトピー素因、遺伝が関係するため、当てはまるものがある方は再発の可能性があります。
原因となる疾患の病状が落ち着くと、円形脱毛症も治癒に向かう傾向にあると考えられています。
まとめ|円形脱毛症になったら皮膚科や薄毛治療クリニックを受診しましょう
円形脱毛症は前触れなく発症するため、発見した時に強い不安を抱く患者様は多いです。
ショックな気持ちから外出や人に会うことを避けてしまう方もいるのですが、円形脱毛症は治療で改善を目指せる病気です。
一人で悩まずに、皮膚科や薄毛治療クリニックに相談することをおすすめします。