「円形脱毛症は病院に行った方がいい?」「放置していても治る?」
このようにお悩みではありませんか?
結論からお伝えすると、円形脱毛症は放置すると悪化する可能性があります。円形脱毛症の症状が見つかったら、できるだけ早く医師の診察を受けましょう。
この記事では、なぜ円形脱毛症の早期治療が大切なのかを解説します。クリニック選びのポイントについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
円形脱毛症を見つけたら早めに治療すべき理由3つ
円形脱毛症は以下の3つの理由から、早期に治療を開始することが重要とされています。
- 脱毛斑が増えたり、広がったりする可能性がある
- 合併症の可能性がある
- 円形脱毛症以外の脱毛症の可能性がある
それぞれ、詳しく解説します。
①脱毛斑が増えたり、広がったりする可能性がある
円形脱毛症は放置していると脱毛斑が増えたり、広がったりする可能性があります。
症状が軽い単発型であれば自然に治癒するケースもありますが、とくに多発型や再発を繰り返している場合は悪化する可能性が高いため注意が必要です。
種類 | 特徴 |
単発型 | 「10円はげ」と呼ばれるタイプ。頭部に1ヶ所のみ脱毛斑ができる |
多発型 | 脱毛斑が2ヶ所以上できる |
蛇行型 | 側頭部から後頭部に向かって帯状に脱毛する |
全頭型 | 頭部全体が脱毛する |
汎発型 | 眉毛やまつ毛、陰毛など全身の体毛が脱毛する |
脱毛斑が広がると、隠すのが難しくなることで見た目への心理的な負担が増え、さらに症状が悪化してしまう場合もあります。
早期治療によって脱毛斑の拡大を抑えることが重要です。
②合併症の可能性がある
円形脱毛症は他の自己免疫疾患を合併する可能性があります。
合併する可能性がある自己免疫疾患は以下のとおりです。
疾患 | 症状 |
甲状腺疾患 | イライラ、動悸、多汗、手の震え、気力の衰え、便秘、体重増加など |
尋常性白斑 | 肌の色が白く抜ける |
全身性エリテマトーデス(SLE) | 顔面蝶形紅斑・発熱・倦怠感・関節痛・口内炎など |
関節リウマチ | 関節の痛み・腫れ・こわばりなど |
Ⅰ型糖尿病 | 疲労感・喉の渇き・水をたくさん飲む・多尿・吐き気・腹痛など |
重症筋無力症 | 全身の筋力低下・疲れやすい・まぶたが下がる・飲み込みにくいなど |
アトピー性皮膚炎 | 皮膚が赤くなる・かゆみ・乾燥・発疹・皮膚が厚くなるなど |
円形脱毛症に気づいた場合は、他の疾患の有無を確認するためにも、適切な検査を受けることが大切です。
③円形脱毛症以外の脱毛症の可能性がある
本当は別の脱毛症なのに、円形脱毛症と勘違いして放置することで、症状が悪化してしまう可能性があります。
たとえば、抜毛症(トリコチロマニア)です。
抜毛症は髪の毛を自分で抜いてしまう病気で、子どもに多いと言われています。脱毛斑ができる場合もあるため、円形脱毛症と間違えて放置しないよう注意が必要です。
また、円形脱毛症の診察を受けた際に、AGAと診断されるケースもあります。
AGAはゆっくり進行するため自分では気づきにくく、円形脱毛症の治療がきっかけでAGAが発覚し、AGA治療を始められる方も多いです。
円形脱毛症が自然に治る可能性は何パーセント?
円形脱毛症は症状が軽く、アトピー素因や自己免疫疾患の既往歴もない場合は、約80%が1年以内に自然治癒すると言われています。
参照:Ikeda T: A new classification of alopecia areata, Dermatologica, 1965; 131: 421―445.
実際、日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン」では、単発型あるいは少数の脱毛斑(数個程度)の場合、発症後1年以内は経過観察でもよいとされています。
ただし、以下に当てはまる方は悪化する可能性が高いため、症状が軽くても油断せず、早めに治療を開始したほうがよいでしょう。
- アトピー素因がある
- 15歳以下で発症した
- 蛇行型の症状がある
- 再発を繰り返している
- 1年以上脱毛斑が消えない
そもそも円形脱毛症はなぜ起こる?自己免疫疾患が原因
円形脱毛症は自己免疫疾患によって起こる症状のひとつとされています。
自己免疫疾患とは、体の異物や病原体を攻撃する自己免疫システムが、誤って自分自身の細胞を攻撃してしまう症状のことです。
自己免疫疾患が起こる原因は解明されていませんが、疲労や感染症など肉体的、精神的ストレスが引き金になると言われています。
また、円形脱毛症の発症のしやすさは遺伝するとも言われており、欧米の調査によると、1親等内での発症率は通常の10倍もあるそうです。
円形脱毛症は何科に行くべき?皮膚科または専門クリニックの受診を
円形脱毛症の治療は、皮膚科や薄毛専門クリニックの受診をおすすめします。
皮膚科は皮膚疾患や脱毛症の治療を専門とする診療科目です。尋常性白斑やアトピー性皮膚炎など、円形脱毛症と合併しやすい疾患の治療もできます。
一方、薄毛専門クリニックは、その名の通り薄毛の治療に特化したクリニックのことです。
ただし、円形脱毛症は治療が難しく、薄毛を専門としているクリニックでも対応していない場合があります。必ずホームページの治療内容や症例を見てから受診しましょう。
後ほど詳しく解説しますが、円形脱毛症に理解があり、治療方法が豊富なクリニックを選択することが大切です。
クリニック選びのポイント3つ
円形脱毛症のクリニック選びは、以下の3つのポイントを重視しましょう。
- 治療方法が豊富なクリニックを選ぶ
- 治療症例が掲載されているクリニックを選ぶ
- 通いやすいクリニックを選ぶ
それぞれ、詳しくみていきましょう。
①治療方法が豊富なクリニックを選ぶ
円形脱毛症は、クリニックによって取り扱う治療が異なります。クリニックを選ぶ際には、治療方法が豊富なクリニックを選ぶことが大切です。
とくに難治の円形脱毛症の場合、治療の選択肢は多い方が、自分に適した治療を受けられる可能性が高まります。同じ治療が万人に効果があるという訳ではないため、どういった治療内容があるのかも事前に確認しておきましょう。
なお、円形脱毛症ガイドラインにおいて推奨度B(行うよう勧める)と評価されている治療法は以下の3つです。
治療方法 | 説明 |
ステロイド局所注射療法 | 免疫反応を抑えるステロイドを脱毛斑に注射する |
局所免疫療法 | 人工的にかぶれを起こし、免疫反応を抑制する |
ステロイド外用療法 | 免疫反応を抑えるステロイドを脱毛斑に直接塗布する |
これらの治療を受けられるかどうかが1つの基準となるでしょう。
②治療症例が掲載されているクリニックを選ぶ
円形脱毛症の治療実績が豊富で、症例がしっかり掲載されているクリニックを選ぶことも大切です。
とくに全頭型や汎発型の円形脱毛症は治療が難しいとされているため、これらの治療症例が掲載されていれば、治療に成功する可能性は高まります。
なお、当院では単発型だけでなく多発型、全頭型などさまざまな症状の方にご来院いただいています。
【当院の症例】
【治療法】内服薬・外用薬、注射治療
【治療期間】9ヶ月
【治療費用】内服・外用:9,900円〜/月、注入治療:53,900円〜/月 ※治療内容や回数によって金額が変動します
【副作用・リスク】むくみ、動悸、頻脈、肝機能障害
【治療法】内服薬・外用薬、注射治療
【治療期間】15ヶ月
【治療費用】内服・外用:9,900円〜/月、注入治療:53,900円〜/月 ※治療内容や回数によって金額が変動します
【副作用・リスク】むくみ、動悸、頻脈、肝機能障害
③通いやすいクリニックを選ぶ
円形脱毛症の治療は継続的な通院が必要な場合があります。そのため、通いやすいクリニックを選ぶことも重要です。
アクセスがよく、通院にかかる時間や費用が少ないクリニックを選ぶことで、治療を継続しやすくなります。
通院の頻度や所要時間、診療時間なども考慮し、自分にとって負担の少ないクリニックを選ぶことが望ましいでしょう。
円形脱毛症の治療にかかる期間
円形脱毛症の治療期間は、過去の治療歴や頭皮状態、幼少期から繰り返しているか否か、できて間もない状態であるか等、様々な要因で変動します。
診察ではマイクロスコープを用いて状態を診察し、過去の既往歴やなりやすい体質かなど総合的に判断し目安となる期間を出していきます。
円形脱毛症を早く治すには?自宅でできるセルフケア3つ
①ストレスを解消する
円形脱毛症とストレスの医学的な因果関係は解明されていませんが、患者様のお話を伺うと引き金になっているケースは多くあるのも事実です。
オンとオフを上手に切り替えて、プライベートな時間はリラックスできるアロマや音楽、趣味の時間を大切にして過ごすようにしましょう。
②食生活を改善する
毛髪の観点に限らず、食生活は身体づくりの基本になります。
偏った食生活やジャンクフードが多い食生活では、髪の成長に必要な栄養素が不足してしまいます。良質なタンパク質(納豆、豆腐、青魚等)、そのほかビタミンやミネラル類(にんじん・レバー・アーモンド・牡蛎・海藻類など)バランスを考えた食生活を心がけましょう。
③ヘアケアを見直す
ヘアケアの中でも特に大切なのがシャンプーです。
シャンプーは毎日行うため、間違ったシャンプーでは頭皮環境の悪化を招きその結果薄毛になりやすい状態になる場合もあります。
市販のシャンプーは脱脂力の強い洗浄成分が多く使用されている物がほとんどで、頭皮に必要な適度な油分まで奪われてしまい、乾燥している方が大変多いです。
乾燥した頭皮はトラブルを起こしやすくなるため、アミノ酸系洗浄成分が主体の優しい洗浄力のシャンプーを使用してみましょう。
円形脱毛症に気づいたら早めに医師へ相談を
円形脱毛症は放置すると悪化する可能性があり、早期治療が重要です。早期治療によって脱毛斑の増加や拡大など、重症化のリスクを抑えられます。
自然に治るケースも多いですが、円形脱毛症以外の脱毛症の可能性もあるため、皮膚科や薄毛専門クリニックの受診をおすすめします。
クリニック選びでは治療方法の豊富さ、治療症例の掲載、通いやすさなどを考慮しましょう。