コラム記事

【医師監修】円形脱毛症に効く市販薬はある?早く治す方法や自然治癒の可能性を解説

先日患者様から、円形脱毛症になり慌てて薬局へ駆け込んだというお話を伺いました。

市販薬で治したいと考える方には残念な事実かもしれませんが、円形脱毛症に特化した市販薬はほとんどありません

ひと口に脱毛症といっても、原因や対処法はそれぞれ異なります。抜け毛・薄毛予防のお薬は色々ありますが、それらが円形脱毛症に効くとは限らないのです。

お薬については患者様から多くご質問をいただくので、今回は円形脱毛症と市販薬についてまとめました。

【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
リバイブAGAクリニック総院長 内富 一仁

東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。

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円形脱毛症は市販薬で治せる?

まず、日本には医薬品として認可を受けた円形脱毛症の市販薬はほとんどありません

当院が把握している限りでは、円形脱毛症に特化した市販薬を製造しているのは1社のみです。市販薬がないのは、円形脱毛症の発症メカニズムがはっきりと明らかにされていないためと考えられます。

また患者様によって原因や症状も違うため、医師の診察の上で一人ひとりに合った治療が求められるのです。

ステロイド外用や抗アレルギー薬で改善する可能性はある

円形脱毛症はステロイドや抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬が円形脱毛症を改善させる可能性は否定できません。

これらは、円形脱毛症の原因と考えられる自己免疫疾患やアレルギー性疾患の治療に用いられるお薬です。円形脱毛症を合併する疾患が良くなれば、脱毛症状も徐々に回復する傾向にあるのは事実です。

ただし、市販薬の薬効は医療機関で処方されるものよりも弱く、期待するほどの効果は得られないケースが多いでしょう。(ステロイドは薬効の強さが5段階に分かれており、市販されているのは弱いものから3ランクまでです)

進行を防ぐには早めの対処が必要

円形脱毛症の治療

円形脱毛症を治すには、市販薬を探すよりも医療機関を受診した方が早期回復につながります

患者様の中には再発を繰り返しやすい体質の方がいて、対処が遅れた結果症状が進行するケースが多く認められます。また、誤ったヘアケアが別のトラブルを引き起こす可能性もあるでしょう。

自己流のケアだけでは限界があるので、進行を防ぐには早めの対処を心がけましょう。

フロジン外用液はドラッグストアで購入できる?

フロジン外用液を入手するには医師の処方が必要であり、薬局やドラッグストアでは購入できません

フロジン外用液はカルプロニウム塩化物を含有するお薬で、脱毛防止や発毛促進の効果が期待できます。さまざまな脱毛症の治療に用いられますが、円形脱毛症の場合はその他治療法との併用が推奨されています。

※当院ではフロジン外用液の取り扱いはありません(円形脱毛症向けに処方しているのは抗炎症のためのオリジナル外用薬とミノキシジル外用薬のみです)

参考:日本皮膚科学会|円形脱毛症診療ガイドライン2017年版

円形脱毛症に市販薬が効かない…治療すべき?

市販薬で改善が見られない円形脱毛症は、医師に相談しその他の治療を検討するのがいいでしょう。

もっとも症状が軽い単発型は、治療をしなくても自然に回復すると言われています。また円形脱毛症が内臓機能に影響を及ぼすことはないので、そのままにしていても健康を損ねる心配はありません。

患者様本人がストレスを感じないのであれば、治療を受けない選択肢があってもいいでしょう。反対に、円形脱毛症であることに強い不安があり、早期改善を望む方には治療を推奨します。

アンテベートで円形脱毛症が治る?

アンテベートは湿疹や乾癬、水疱症など幅広い皮膚疾患に用いられるお薬です。
ステロイドの一種であり、円形脱毛症においては単発型と多発性への有用性が確認されています

円形脱毛症を早く治すには医療機関での治療が有効

医師と相談

市販薬で改善しない円形脱毛症は、そのままにしておくと症状が進行する可能性があります。

全頭型や汎発型へと進行すると、脱毛を隠すための大々的な工夫が必要となります。治療が長引くと患者様の精神的負担も増えるため、早いうちから対処することが大切です。

円形脱毛症は患者様によって症状や進行の仕方が大きく異なります。適応する治療法を見つけるためにも、円形脱毛症に理解のある医師のもとで早期に治療を受けることをおすすめします。

円形脱毛症の治療法

以下は円形脱毛症診療のガイドラインで紹介されている円形脱毛症の治療法の一例です。

  1. ステロイド療法
  2. 局所免疫療法
  3. ミノキシジル外用療法
  4. 紫外線療法
  5. 冷却療法

ここからはそれぞれの治療法の特徴を詳しく解説します。

※上記以外にもさまざまな治療法がありますが、本記事では推奨度の高い治療法を抜粋して解説します。

治療法①ステロイド療法

HARG療法

塗り薬や飲み薬、局所注射などで免疫反応を抑える治療法です。

塗り薬は1日2回、脱毛部位に塗布するので痛みはなく、比較的に簡単に行えます。局所療法は注射した部位に発毛が認められますが、脱毛部位が大きくなるほど注射の回数が増えるため、重症化した症例ではその他治療との併用が推奨されます。

飲み薬については高い効果が望めますが、副作用のリスクと再発率が高いことから投与は慎重に行わなければなりません。

治療法②局所免疫療法

脱毛部位にかぶれを起こし、免疫反応を抑える治療法です。

円形脱毛症の治療においては第一選択として行うよう推奨されており、年齢や症状を問わず行えるのが大きな特徴です。

化学試薬を用いるため、まれに接触皮膚炎や蕁麻疹が生じる場合があります。これらの皮膚症状が発現した際は治療を中止し、抗ヒスタミン薬やステロイド外用での治療を行います。

治療法③ミノキシジル外用療法

ミノキシジル外用療法

発毛薬を脱毛部位に塗布する治療法です。

AGAやFAGAなどの治療に用いられるミノキシジルは、円形脱毛症においてはその他の治療と併用して行うことが推奨されています。

こちらは自由診療に該当するため、治療費は全額自己負担となります。

治療法④紫外線療法

脱毛部位に紫外線を照射し、免疫反応を抑制する治療法です。

照射する紫外線の波長によって次の3種類に分類されます。

  • PUVA療法
  • ナローバンドUVB療法
  • エキシマレーザー療法

波長の長い紫外線を照射するPUVA療法は入院が必要な治療法で、全頭型と汎発型の症例に対して行われます。

ナローバンドとエキシマレーザー療法は、すべての症例に対して適応がある治療法です。入院の必要はなく、小児にも行えます。

治療法⑤冷却療法

ドライアイスや冷却窒素で脱毛部位を冷却する治療法です。

免疫反応を抑制する効果があり、被験者の約6割に脱毛斑の縮小が認められたとの研究結果が報告されています。

発毛効果を実証するにはまだまだデータが不十分ですが、副作用が少なく比較的簡単に行えることからその他の治療と併用して行うよう推奨されます。

参照:Jun M, Lee NR, Lee WS: Efficacy and safety of superficial cryotherapy for alopecia areata: A retrospective, comprehensive review of 353 cases over 22 years, J Dermatol, 2017; 44: 386―393.(レベル V)

円形脱毛症と市販薬にまつわるよくある質問

円形脱毛症と市販薬について、患者様から多く寄せられる質問と回答をまとめました。

Q.市販薬のリンデロンは円形脱毛症に効きますか?

市販薬のリンデロンは円形脱毛症に対して適応がありません。

リンデロンには4つの種類(DP・V・VG・A)があり、このうち円形脱毛症に対して適応があるのはリンデロンDPのみです。リンデロンDPは市販されておらず、医師の処方がなければ入手できません。

Q.市販薬で治った円形脱毛症が再発しました。原因は何ですか?

円形脱毛症の再発には自己免疫疾患やアレルギー疾患、遺伝などが関係します

市販薬を使ったかどうかよりも、患者様ご自身が円形脱毛症になりやすい体質だと考えられるでしょう。

Q.円形脱毛症の予防として市販薬を使用してもいいですか?

円形脱毛症の予防に市販薬を使用することは推奨できません。

円形脱毛症の治療に用いられるステロイドは、長期の使用で皮膚が萎縮したり薄くなったりする可能性があります。本来ならば症状が改善した時点で使用を中止しなければならず、予防的な使用は認められません。

もっとも円形脱毛症の予防に有効な市販薬はないので、自己判断で不適切なケアをしないようご注意ください。

まとめ|市販薬で改善しない円形脱毛症は医師に相談しましょう

医師と相談

現状、円形脱毛症に特化した市販薬はほとんどありません。

セルフケアのみでは改善が難しい場合も多く、このまま治らないのではないかと不安を抱えている方もいるでしょう。

円形脱毛症は原因や症状が患者様によって異なるため、一人ひとりに合わせた適切な対処が必要です。一刻も早く治したいとお考えの方は、自己流のケアをはじめるよりも円形脱毛症に詳しい医師に相談することをおすすめします。

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