円形脱毛症は通常の薄毛(AGA・FAGA)と違い年齢・性別に関係なく起こり、かつ突然発症します。
基本的には明確な前駆症状やAGAほどの遺伝的要因は少なく、円形脱毛症の患者様はなぜ私がと心配されます。
円形脱毛症は、進行パターンも脱毛範囲も千差万別です。
自然治癒すると思っていたら急拡大してしまった、保険治療で何年治療しても治らないなど、様々な理由で来院患者様が増えております。
当院では、AGAクリニックとしては珍しく円形脱毛症も専門に扱っております。
髪の専門クリニックとして、AGA以外の難しい脱毛症においても多くの患者様を治療させていただいております。
この記事では円形脱毛症について、種類と特徴、原因、治し方について解説します。
【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。
円形脱毛症とは?円形・楕円形の脱毛症が突然生じる疾患
円形脱毛症は、円形または楕円形の脱毛斑が突然生じる脱毛症です。
一般に「10円ハゲ」とイメージされる単発型や多発型をはじめ、頭部全体に拡大する全頭型や、まゆげやヒゲなどの体毛まで抜け落ちてしまう汎発型など、症状の重さは人それぞれ異なります。
女性や小児にも円形脱毛症は発症する!
円形脱毛症は年齢や性別問わず発症する疾患です。
円形脱毛症で来られる方のうち半数50%は女性です。
また未成年や10代でも発症します。
患者の約4人に1人は15歳以下の子どもと言われており、当院にはお子様の円形脱毛症の相談に来院される方も多くいます。
小児の円形脱毛症は進行が急速であるや、使える薬に限りがあるなど成人とは違った特徴があります。
※当院では原則として15歳以上の方を対象に診察しておりますが、症状によってはお子様の診察も可能です。詳しくはクリニックまでお電話でご相談ください。
参照:新潟大学皮膚科における最近6年間の円形脱毛症の統計的観察
円形脱毛症の種類と特徴
円形脱毛症は脱毛斑の数や範囲などによって、大きく次の5つの種類に分けられます。
種類 | 特徴 |
単発型 | 小さな円形または楕円形の脱毛斑が1ヶ所のみできる |
多発型 | 2つ以上の脱毛斑が同時または連続して現れる |
蛇行型 | 側頭部から後頭部に向かって帯状に脱毛する |
全頭型 | 脱毛斑が頭部全体に広がる |
汎発型 | 頭部だけでなく全身の体毛も脱毛する |
それぞれの種類と特徴について、詳しく解説します。
単発型は円形脱毛症の中では最も軽い症状です。
小さな円形または楕円形の脱毛斑が1ヶ所のみできるのが特徴です。
参照:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
ただし、症状には個人差があり、多発型や全頭型へと悪化してしまうケースもあります。
とくに15歳以下で発症した場合や、症状が悪化した場合は回復率も低い傾向にあるため、早期の治療が大切です。
参照:Juvenile versus maturity-onset alopecia areata–a comparative retrospective clinical study
【当院の実際の症例】
多発型は、2つ以上の脱毛斑が同時または連続して現れる症状です。
多発型の円形脱毛症は、治療せずにいると脱毛斑が拡大したり、再発を繰り返して慢性化したりするなど、症状が悪化しやすい傾向にあります。
多発型の円形脱毛症が見られる場合は放置せず、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
【当院の実際の症例】
蛇行型は、側頭部から後頭部に向かって帯状に脱毛する症状です。
円形脱毛症の中でも特殊なケースで、一見すると円形脱毛症には見えないかもしれませんが、脱毛斑が細長く結合して帯状になっています。
蛇行型は多発型と合併するケースも多く、治療は難しいとされています。
なお、当院では蛇行型の円形脱毛症においても改善した症例が多数あります。
【当院の実際の症例】
全頭型は脱毛斑が拡大、融合を繰り返して頭部全体に広がった状態です。
治療は非常に難しく、全頭型や汎発型へ移行した場合の回復率はかなり低くなります。
治療を断念し、ウィッグ等の使用を選択する方も多くいます。
【当院の実際の症例】
汎発型は、頭髪に加えてまゆ毛やまつ毛、髭など、全身の体毛まで抜け落ちてしまう、円形脱毛症の中では最も重い症状です。
外見の変化が顕著であるため、精神的な負担も大きく、回復にはクリニックでの治療とあわせて精神的なサポートも必要になるでしょう。
当院では治療が難しいとされる全頭型や汎発型の治療も積極的に行っておりますので、一度治療を断念してしまった方もぜひ、無料カウンセリングに足を運んでみてください。
【当院の実際の症例】
実際の円形脱毛症の原因は?
円形脱毛症の原因として考えられるのは次の6つです
- 自己免疫疾患
- アトピー素因
- 遺伝
- その他の自己免疫疾患
- 妊娠出産、授乳、過度のホルモンバランスの変化
- ウィルスや未知の原因
具体的な内容を解説します。
原因①自己免疫疾患
円形脱毛症の発症原因として、近年もっとも有力視されているのが自己免疫疾患です。
自己免疫疾患とは、何らかの理由で免疫系機能が誤作動を起こし、自分の身体を攻撃してしまう疾患のことです。
円形脱毛症においてはTリンパ球が毛包を異物として認識し、健康な髪にダメージが加わることで脱毛が生じると考えられています。
参考:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
なお、自己免疫疾患の発症理由については未だ不明瞭な部分が多く、原因は明らかにされていません。
原因②アトピー素因
以下の既往歴、または家族歴があると円形脱毛症の発症率が高いことがわかっています。
- アトピー性皮膚炎
- 気管支ぜんそく
- アレルギー性鼻炎
- 結膜炎
上記の疾患を持っていることをアトピー素因といいます。
免疫系機能は本来、ウイルスや細菌といった外部からの侵入者のみに働くものです。しかし、アトピー素因の場合は花粉やハウスダスト、食品などにも過剰に反応してしまいます。
また、アレルギーに関する抗体(IgE抗体)を作りやすい体質の方も、そうでない方に比べて円形脱毛症になりやすい傾向にあります。
関連記事:アトピーだと円形脱毛症になりやすい?アトピー素因と脱毛症の関係
原因③遺伝
中国で行われた大規模な調査では、円形脱毛症患者の8.4%に家庭内発症があったとのデータが報告されています。
家族間の関係が近ければ近いほど発症率は高くなり、一卵性双生児においては55%と高率です。
参照:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
アレルギー体質と同様、円形脱毛症になりやすい体質もまた遺伝する確率が高いと言えるでしょう。
原因④その他の自己免疫疾患
円形脱毛症は自己免疫疾患であり、自己免疫の暴走(誤作動)による毛根の炎症が原因とされています。これ自体は間違いないと思われます。
ただし、病気は2つ以上のことが原因になることもあります。
円形脱毛症がある方は他の自己免疫疾患の併発率が高いことが知られております。
アトピー要因やアレルギー要因などもありますが、特に併発率が高いのが甲状腺疾患です。
例えばバセドウ病や橋本病などがあげられます。一説によると女性の円形脱毛症のうち8%程度がこうした甲状腺疾患を併発していると言われております。
円形脱毛症を発症した方、特に重症の方は一般病院を受診したり、定期的な健康診断などをお勧めいたします。ほかにも膠原病の既往がある方は、円形脱毛症に留意する必要があります。
ほかに梅毒やSLE尋常性白斑、関節リウマチなどがあげられます。当院では円形脱毛症の方で希望する方に梅毒や甲状腺などの採血検査も任意で行っております。
以下に代表的な疾患を列挙します。
自己免疫疾患 | 症状 |
甲状腺疾患 | 無気力、疲れやすい、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘など |
尋常性白斑 | 肌の色が白く抜ける |
全身性エリテマトーデス(SLE) | 顔面蝶形紅斑・発熱・倦怠感・関節痛・口内炎など |
関節リウマチ | 関節の痛み・腫れ・こわばりなど(朝に強く見られる) |
梅毒 | 発熱・倦怠感・頭痛・のどの痛み・リンパ腺の腫れなど |
原因⑤妊娠出産、授乳、過度のホルモンバランスの変化
健常者でも妊娠出産を機に脱毛してしまうこと(産後脱毛)は、誰しもが聞いたことがあると思います。
ほとんどの方は一過性変化で元に戻る、もしくはおおむね元の状態に戻ります。
通常は全体的な抜け毛になることが多いですが、人によっては円形脱毛症を発症する方がおられます。
妊娠出産に関連して起こる円形脱毛症で一番心配なのが母体およびお子様への影響です。
治療に使用する薬剤などは、妊娠中・授乳中禁忌に指定されてるわけではありませんが、100%安全というのはありません。
妊娠中に治療したところで、妊娠中や出産後授乳中のホルモンバランスの変化で再度再発してしまうこともあります。
出産・授乳が終わった後治療開始することをお勧めしております。
原因⑥ ウィルスなど未知の原因
コロナウィルスが蔓延していた時期、脱毛の症状があるというのが話題になったことがあります。
コロナになって円形脱毛症になった、コロナワクチンをうけて急に脱毛したという主訴の方もいました。
真偽はわかりませんがコロナウィルスの時期、不要不急の外出を控えるように言われる中、当院においては患者数の増加が見られました。
円形脱毛症自体、未解明な点が多くありますが恐らくなんらかの免疫機構に影響があったと思われます。
円形脱毛症はストレスで発症するのか?
一昔前までは円形脱毛症はストレスで発症すると思われていました。
しかし、現在のところストレス説は否定されつつあります。
前述の通り円形は自己免疫疾患と言われ、免疫異常から起きると言われております。
当院でも、問診時に思い当たるストレスがないと答える方が大半です。
体感20-30%ぐらいの方がストレスがあった答えられますが、円形脱毛症がない方でも同様の割合でストレスを抱えていることが多いので両者に大差はございません。
円形脱毛症に関しては未だ未解明な点も多くあります。
ストレスが主たる原因ではない為、ストレス因子が解決しても円形脱毛症が治るとは限りません。
しかし、過度なストレスが悪化の一因や重症化しやすくなる一因にはなり得ると考えています。
円形脱毛症の初期症状と回復するまで
円形脱毛症の初期症状と、回復するまでの大まかな流れは以下のとおりです。
流れ | 説明 |
1.円形または楕円形の脱毛斑が突然現れる | 突然髪が抜け落ち、脱毛斑が1個または複数現れます。炎症やかゆみが見られる場合もあります |
2.(悪化した場合)脱毛斑が増えたり、広がったりする | 悪化すると多発型や蛇行型に移行する場合があります |
3.(さらに悪化した場合)脱毛斑が頭部全体に広がる | 全頭型や汎発型にまで悪化すると、治療は難しいとされています |
4.脱毛斑に産毛や白髪が生え始める | 円形脱毛症の回復初期では、産毛や白髪が生えます。髪に色を着ける細胞が、あとから回復するためです |
5.生えてくる髪が徐々に太く、黒くなっていく | 徐々に髪が太くなり、正常な状態に戻ります |
参照:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
円形脱毛症の進行速度や治るまでの期間は、重症度や治療の選択など、さまざまな要因によって異なります。
単発型など軽症な場合、症状の進行がなければ高確率で治療により寛解していきます。
しかし、多発型の場合は重症化しやすい傾向にあり、治療が数年に及ぶこともあるため、早期の治療開始が大切です。
円形脱毛症の初期症状や回復までの経過は下記の関連記事も参照ください。
円形脱毛症になりやすい年齢はある?
円形脱毛症は年齢に関係なく、赤ちゃんからお年寄りまで誰でも発症する可能性があります。
アメリカのミネソタ州で行われた調査によると、円形脱毛症の発症率はおよそ0.2%(1万人あたり20.2人)で、男女差はなく、全年齢において同様の比率であったそうです。
参照:Incidence of alopecia areata in Olmsted County, Minnesota, 1975 through 1989
10代の多感な時期に発症するケースもあり、親子で相談に来られる方も多くいます。
繰り返しになりますが、円形脱毛症を発症した場合は早期に医師の診断と治療を受けることが大切です。
円形脱毛症は自然に治る?病院に行くべきか否か
円形脱毛症の症状は、単発型の軽症なものから全頭型・汎発型など重症なものまで様々です。
当院に受診する患者様の中にも、発症時は単発型でも1~2ヶ月の間に多発型や蛇行型、またそれ以上に重症な全頭型や汎発型へと移行してしまうケースも度々見受けられます。
このように進行の予後が推測しにくいことが円形脱毛症の厄介なところであり、多くの薄毛専門クリニックが治療をお断りする理由となっている要因です。
当院では、多数の円形脱毛症症例からそのようなリスクに関する説明、それに対してどのような治療を行っていくかを時間をかけて行っています。
今現在、以下に該当する方は悪化する可能性が高いため、円形脱毛症を見つけたら早めに医師の診察を受け、治療を開始したほうがよいでしょう。
- アトピー性疾患や自己免疫疾患の既往歴がある方
- 過去に円形脱毛症を発症したことがある方
- 脱毛斑が1年以上治らない方
- 15歳以下で発症した方
- 多発型や蛇行型など重症度の高い方
上記に該当しない場合にも、円形脱毛症に気が付いたら早めに受診することをおすすめします。
当院の治療について
当院では、各種有効成分をカクテルしたオリジナルの局所免疫療法をはじめ、患者様それぞれの症状に合わせた、円形脱毛症専用のオーダーメイド治療をご提案しております。
治療が難しいとされる蛇行型や全頭型・汎発型など、重症化した円形脱毛症の治療も積極的に取り組んでおり、遠方から来院される方も多くいらっしゃいます。
治療内容については、患者様の状態によって大きく変わるため、まずは無料カウンセリングにてご相談ください。
円形脱毛症に関してよくいただくご質問
円形脱毛症に関して、当クリニックによくいただく質問をまとめました。
Q.円形脱毛症はいつのストレスですか?
円形脱毛症の引き金となったストレスの特定は困難です。
円形脱毛症の発症は必ずしもストレスが原因とは限らず、自己免疫の異常や遺伝など複数の要素が関係してると考えられています。
Q.円形脱毛症になった場合、してはいけないことはありますか?
円形脱毛症になった場合、以下のことに注意してください。
してはいけないこと | 説明 |
自己診断や自己治療 | 市販薬や海外医薬品の個人輸入による自己治療は症状を悪化させる可能性があります。必ず医師に相談してください |
ストレスの溜めすぎ | 過度のストレスは円形脱毛症を悪化させる可能性があります |
脱毛部分に強い刺激を与える | 脱毛斑部分を強く擦ったり、毛を自分で抜いたりすると、回復が遅れてしまう可能性があります |
Q.円形脱毛症の原因は男女で異なりますか?
円形脱毛症の発症に男女差はなく、原因は性別によらず同様と考えられます。
円形脱毛症の発症に関与する要因としては、自己免疫疾患、遺伝、アトピー素因などがありますが、これらはすべて性別が関連しないものだからです。
Q.子供の円形脱毛症は何科に行けばよいですか?
子供の円形脱毛症は皮膚科(小児皮膚科)を受診するのが一般的です。
皮膚科は皮膚や毛髪に関する病気の診察や、治療を行う診療科目です。皮膚科を訪れる患者の0.7~3.8%は円形脱毛症の患者と言われています。
Q.円形脱毛症を早く治すために食べた方がいい物はありますか?
円形脱毛症の治療において、直接的に効果のある食べ物や栄養素は確認されていません。
しかし、栄養バランスの良い食生活を維持することで、免疫機能と健康に良い影響を与え、回復を早める効果が期待できます。
日々の食事ではジャンクフードや高カロリー食の食べ過ぎに注意しつつ、髪の成長に必要なタンパク質、亜鉛、ビタミンなどを積極的に取り入れるとよいでしょう。
Q.円形脱毛症を繰り返す理由はなんですか?
円形脱毛症は遺伝的な要素が大きく、「円形脱毛症になりやすい体質」の方は再発を繰り返す可能性が高いといえます。
再発を100%防ぐ方法はありませんが、円形脱毛症の再発率を少しでも下げるためには、規則正しい生活とストレス管理が大切です。
Q.円形脱毛症の薬はいつまで続ければいいですか?
円形脱毛症の症状が回復してからは、薬を飲み続ける必要はありません。
再発を防止するためには、発症の引き金となるストレスをできる限り避け、規則正しい生活を送ることが大切です。
円形脱毛症は放置せず、気づいた時点で医療機関を受診しましょう
円形脱毛症は「症状が軽いから」「目立たないから」といって放置せず、気づいた時点で早めに医療機関を受診しましょう。
とくに15歳以下で発症した場合や、再発の場合は重症化しやすく、治療が数年以上続くケースも珍しくありません。
なお、当院では円形脱毛症専用の治療を行っております。
治療が難しい全頭型の改善症例もございますので、これまで治療を諦めていた方もぜひ、無料カウンセリングにお越しください。