円形脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は、それぞれ原因や症状が異なる脱毛症です。
併発したり、同じような脱毛の仕方をしたりする場合もあり、症状だけで見分けるのは難しい場合があります。
そこで今回は円形脱毛症とAGAについて、それぞれの特徴や見分け方、治療方法を解説します。
【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。
円形脱毛症とAGAの見分け方|それぞれの特徴と違い
円形脱毛症とAGA(男性型脱毛症)の違いを表にまとめましたのでご覧ください。
円形脱毛症 | AGA(男性型脱毛症) | |
発症対象 | 性別や年齢を問わない | 思春期以降の男性 |
症状 | 突然毛が抜け落ち、円形や楕円形の脱毛斑ができる | 生え際や頭頂部から徐々に薄毛が進行する |
原因 | 自己免疫疾患 アトピー素因 精神的ストレスなど | 男性ホルモン (ジヒドロテストステロン) |
治療方法 | ステロイド療法 局所免疫療法紫外線療法など | 内服薬 外用薬 注入治療など |
放置すると | 自然に治る場合もあるが、頭部全体に一気に広がることもある | 自然に治ることはなく徐々に薄毛が進行していく |
ここからは、それぞれの特徴と違いを詳しく解説していきます。
円形脱毛症の特徴
円形脱毛症は、前触れ無く突然髪の毛が抜け落ち、円形や楕円形の脱毛斑が現れる症状です。
性別や年齢は関係なく誰にでも起こる可能性があり、お子さんの円形脱毛症に悩まれている方も多くいます。
円形脱毛症の原因はハッキリと解明されていませんが、自己免疫疾患が有力視されています。
自己免疫疾患とは、ウイルスなどを排除するための免疫機能に異常が起こり、正常な細胞を異物とみなして攻撃してしまう病気のことです。
また、円形脱毛症は「点状陥凹」が併発しやすいのも特徴のひとつです。
点状陥凹は、爪の表面に点状の凸凹ができる症状で、免疫機能の異常によって起こるとされており、円形脱毛症の診断基準となっています。
AGA(男性型脱毛症)の特徴
AGA(男性型脱毛症)は生え際や頭頂部から少しずつ薄毛が進行していく、進行性の脱毛症です。
AGAを発症するかどうかは遺伝による部分が大きく、親族に薄毛の方がいる場合は、AGAを発症しやすいと考えられています。
男性ホルモン(ジヒドロテストロン)によってヘアサイクルが乱され、髪がしっかり成長する前に抜け落ちてしまうのがAGAのメカニズムです。
髪の成長不足によって、細い毛や短い毛が頻繁に抜け落ちる場合はAGAのサインと言えるでしょう。
AGAは進行性であるため、根治に至る治療法はありませんが、治療によって進行を抑え、抜け毛を予防することはできます。
円形脱毛症とAGAが併発することはある?
円形脱毛症とAGAは併発する場合があります。
ただし、脱毛症をきっかけに別の脱毛症を発症するとは考えにくく、気づかぬうちに併発していた場合が大半であると推察されます。
<例>
「円形脱毛症が気になって診察を受けたら、実はAGAも発症していた」
「AGAの診察を受けたら、自分では見えない部分に円形脱毛症ができていた」
併発した場合は、円形脱毛症とAGAの両方に対応した薄毛専門クリニックを受診し、どちらの症状もできる限り早く治療を開始しましょう。
円形脱毛症とAGAは同時に治療できます
円形脱毛症とAGAは同時進行で治療可能です。
治療法は一部を除いて異なりますが、ミノキシジル外用療法など、円形脱毛症とAGAの両方に効果が期待できる治療もあります。
ただし、円形脱毛症は治療が難しく、対応していない場合もあるため、AGAだけでなく円形脱毛症にも理解のあるクリニックを選ぶことが大切です。
円形脱毛症の治療が行われているか、症例がWebサイトで確認できるか、必ずチェックしておきましょう。
円形脱毛症の治療方法
円形脱毛症は原因がハッキリしていないことから治療法が確立されておらず、クリニックによって対応する治療もさまざまです。
日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン」では、計26種類の治療法が記載されています。
そのなかでも、以下の3つは最も高い「推奨度B(行うよう進める)」に分類されている治療方法です。
治療方法 | 内容 |
ステロイド局所注射療法 | 免疫反応を抑えるステロイドを脱毛斑に注射する |
局所免疫療法 | 人工的にかぶれを起こし、免疫反応を抑制する |
ステロイド外用療法 | 免疫反応を抑えるステロイドを脱毛斑に直接塗布する |
円形脱毛症の治療について詳しくは、下記の記事で解説しています。
AGA(男性型脱毛症)の治療方法
AGAは原因やメカニズムが解明されており、治療法も確立されています。
主な治療方法は以下の3つです。
- 投薬治療
- メソセラピー
- HARG療法
それぞれ、詳しくみていきましょう。
①投薬治療
AGAの治療は、DHT阻害薬(フィナステリド・デュタステリド)や発毛剤(ミノキシジル)による投薬治療が基本となっています。
DHT阻害薬とは、AGAの原因であるジヒドロテストステロンの産生を抑制する薬です。
AGAによって乱れたヘアサイクルを正常に戻し、髪を育ちやすく、抜けにくくする効果が期待できます。
発毛剤(ミノキシジル)とは、頭皮の血流を良くし、発毛を促進する効果が期待できる薬です。
ミノキシジルは円形脱毛症の治療に使用される場合もあり、さまざまな脱毛症に効果が期待できます。
②メソセラピー
メソセラピーとは、注射器などを使って頭皮に薬剤を直接注入する治療法です。投薬治療とあわせて行うことで、より早く、より高い効果を期待できます。
注入する薬剤の成分はクリニックによって異なりますが、多くの場合はミノキシジルなどの発毛剤に加えて、成長因子や栄養成分などが配合されています。
後述するHARG療法もメソセラピーの一種です。
③HARG療法
HARG(ハーグ)療法は、150種類以上の成長因子が含まれた「HARGカクテル」を頭皮に直接注入する治療法です。
日本医療毛髪再生研究会によって研究・開発されたHARGカクテルは、身体本来の「髪の毛を作る力」を取り戻し、治療後も効果が持続しやすいと言われています。
HARG療法を行えるのは、HARG療法認定施設に認定された医療機関のみです。
当院はHARG療法認定施設ですので、興味のある方はぜひ一度ご相談ください。
併発した場合は薄毛専門クリニックの受診を
円形脱毛症とAGAは併発するケースも多く見られます。
併発した場合は、円形脱毛症とAGAの両方に対応した薄毛専門クリニックを、できる限り早く受診することが大切です。
AGAは比較的ゆっくり進行しますが、円形脱毛症はいきなり多発型や全頭型へと重症化し、髪の毛がすべて抜け落ちてしまうこともあります。
リバイブAGAクリニックでは、AGAだけでなく難しい円形脱毛症の治療にも対応しています。
同時に治療を進めることもできますので、薄毛にお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
円形脱毛症とAGAについてよくある質問
円形脱毛症とAGAについて、よくある質問をまとめました。
Q.AGA治療薬は円形脱毛症に効果がありますか?
AGA治療薬のうち「DHT阻害薬」は効果を期待できませんが、「発毛剤(ミノキシジル)」は、単発型や多発型の円形脱毛症の治療に使用されることがあります。
DHT阻害薬(フィナステリド・デュタステリド)はAGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する薬で、円形脱毛症には効果が期待できません。
発毛剤(ミノキシジル)は、日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン」において「推奨度C1(行っても良い)」と評価されており、併用療法の1つとして行っているクリニックも多くあります。
Q.円形脱毛症やAGAに治る前兆はありますか?
円形脱毛症の回復期では、脱毛した部分に産毛や白髪が生えてきます。AGAは進行性で完治することはありませんが、治療を続けることで細い毛が徐々に太く、抜けにくくなります。
公開日:
円形脱毛症とAGAが併発することはある?それぞれの特徴や見分け方、治療方法について解説
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Q.円形脱毛症やAGAの治療中にしてはいけないことはありますか?
生活の制限はとくにありませんが、以下のような髪に悪影響を与える可能性が高い習慣は、見直したほうがよいでしょう。
- ストレスの溜めすぎ
- 栄養バランスの悪い食生活
- 過度の飲酒・喫煙
- 運動不足
- 睡眠不足
- 間違ったヘアケア
ヘアケアについては以下の記事で詳しく解説しています。
公開日:
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Q.円形脱毛症やAGAを放置するとどうなりますか?
円形脱毛症は自然に治ることもありますが、放置することで脱毛斑が増えたり、広がったりする場合があります。
AGAは進行性の脱毛症であるため、自然に治ることはありません。放置していると、生え際や頭頂部から徐々に薄毛が進行していきます。
円形脱毛症とAGAはどちらも早期の治療開始が大切
円形脱毛症とAGAは併発する場合もありますが、発症の原因はそれぞれ異なり、自分では気づかないうちに併発していたケースがほとんどと考えられます。
2つの脱毛症に因果関係はなく、円形脱毛症がきっかけでAGAになったり、逆にAGAが原因で円形脱毛症を発症したりする可能性は低いと言えるでしょう。
円形脱毛症とAGAは、どちらも放置によって悪化する可能性のある脱毛症です。
併発した場合は、円形脱毛症とAGAの両方に対応したクリニックで治療を受けることをおすすめします。