円形脱毛症は何の兆しもなく突然毛髪が抜けるため、
「いつになったら髪が生えるのだろう」
「治るサインはあるのか」
など、不安に感じられる方も多いと思います。
人によって改善するまでのスピードにも個人差があるため、「このくらいで治る」と断言することが難しい疾患です。
また回復するのではと思っていたら、むしろ悪化する可能性もあるため難しい病気の1つです。
円形脱毛症の場合、初期症状が本当の正体を現してないことが多々あります。
むしろ大切なのは早期発見時、本当の正体がどうなのかをきちんと見極めることにあります。
そんなとき「およその流れ」を知っておけば治療の励みになることでしょう。
この記事では、発症発見から病変がはっきりし、最後回復までの流れを解説していきます。
なお、円形脱毛症の種類や原因については下記の記事で紹介しています。
【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。
円形脱毛症の初期症状から回復までの流れ
まずは、円形脱毛症が発症してから回復に向かうまで、頭部や体にどういった変化が起こるのか、解説していきます。
進行状況は主に以下の3つの段階に分けることができます。
- 初期症状
- 急性期
- 症状固定期
自分の症状がどの段階にあるのか、どのようなことに注意しなければいけないのかを把握しましょう。
①初期症状
円形脱毛症の初期段階では、以下のような症状が現れます。
特徴 | 具体的な症状 |
前触れもなく突然脱毛が始まる | ・通常は前触れとなる自覚症状はなく、人から指摘されることも多い ・かゆみがないことが多い |
頭頂部に地肌が見えるところが出てくる | ・直径2〜3センチほどの脱毛斑が出てくる ・症状が進行してくると脱毛斑がしだいに大きくなったり、数が増えてきたりすることがある |
爪に小さなでこぼこが出てくる | ・爪の凹みを併発することも ・爪に小さなでこぼこが出てきた場合、円形脱毛症を発症している可能性がある |
脱毛斑との境目がはっきりとわかる | ・脱毛斑は他の部分との境界線がはっきりしている ・周囲の毛を引っ張ると容易に抜けるようになる |
②急性期
急性期とは急速に症状が進行する「半年以内」の時期のことです。
ただし、半年間ずっと進行拡大があるというわけではなく、1か月で進行が止まる方もいれば半年に及んで脱毛が拡大する方もおられます。
急性期は以下のような症状が現れます。これらの症状は、特殊な拡大鏡によるダーモスコピー検査によって詳細に観察が可能です。
特徴 | 具体的な症状 |
毛が容易に抜けやすくなる | ・抜け毛が多くなる ・髪の毛を軽くすくい上げるだけで容易に抜け落ちる |
感嘆符毛が見られる | ・先が太くて根元が細い(感嘆符・!のようなかたちの毛)抜け毛が多く見られる |
切断毛が見られる | ・脱毛部分の根元から髪が切れている切断毛が頭皮に残った状態で見られる ・症状が進むと短い切れた毛も抜け落ちる |
黒点が見られる | ・毛穴に萎縮した毛が詰まったような黒い点が多数見られる |
分かりやすく言うと気づいてすぐの状態が早期の段階であることが殆どです。
円形脱毛症に気づいた時の状態が、本当の症状なのかあやふやなことがこの疾患の厄介なところです。
どのような症状であっても、治療自体はできるだけ早期に始めたほうが良好な経過が見込まれます。
例えば、脱毛斑が拡大中に治療した場合、発見時からすでに周辺は炎症ダメージを受けているため、広がるべくして広がります。
そのようなケースでは、広がりながら同時に発毛もしてくるという経過を辿ることもあります。
またスコープ観察において、脱毛斑が拡大中の状態か、もしくはある程度症状が成熟しているかおおよそ判断することができます。
当院では円形脱毛症の知見が非常に多いため、リスク説明や状況把握はもちろん、治療間隔などの提案にも生かしています。
③症状固定期
症状固定期とは脱毛症状が「半年を超えた」時期のことです。
半年を超えた時期でも、急性期のように症状が進行している場合と、症状が治まりつつある場合の2つあります。
半年を超えると大半の場合、進行が止まっているケースが多いです。
これ以上拡大はしないが、改善も見られない状態です。
初見の段階で症状が成熟していることが多く、どれぐらいの状況なのか見通しはしやすくなります。
ただし、発症から時間経過が長い分だけ急性期の治療よりも期間や費用がかかったり、治療反応が悪いなどが起きえます。
疾患自体は早期発見、早期診察、早期治療のほうが結果がでやすく望ましいです。
円形脱毛症自体、重症例ですと100%治癒ではないので、早期治療で経験豊富なクリニックに相談することが一番大切です。
当院での症例を元に解説します
当院の治療により、蛇行型→全頭型→改善した方の症例です。
こちらの患者様は、来院時の状態が蛇行型でした。
来院時の段階でまだ抜け毛が多く、脱毛範囲が広がる可能性を示唆し、本当の正体が全頭型かもしれない旨について説明していました。
急性期で拡大が懸念されたのでそれに応じた治療を開始しました。
1~2か月で全頭型へと移行。本当の正体が全頭型でした。
初診から1~2ヶ月経過したところで、本当の正体が全頭型であることがわかりました。
初診の段階でまだ抜け毛が多かった為、上記の可能性について説明し理解をいただいていたため、何の前情報も無く悪化してしまうより精神的負荷は抑えられたようです。
これは治療スタート前に生じていた炎症が、脱毛を引き起こすまでタイムラグがあることで生じると考えられます。
引き続き治療を行います。
初診から8か月が経過した頃には、かなり発毛が見られるようになりました。
その後は早期に治療開始したことも功を奏し、改善へと向かいました。
重症化が見られた為、完解まではやや時間を要しましたが(約12ヶ月)、進行時からは見違えるように発毛しました。
重症化した円形脱毛症は、放置しておくとより重症な汎発型脱毛症へと移行するケースも多く、早期の医療機関受診と治療開始が大切なポイントとなります。
治療による回復の症状
治療をして円形脱毛症が回復期になると、以下のような症状が現れます。
特徴 | 具体的な症状 |
細く短い毛(産毛)が生えてくる | ・脱毛した部分の一部に、細くて短い産毛が生えてくる |
頭皮がかゆくなる | ・発毛に関わる細胞が活性化し、血流が良くなることでおこる |
白髪が増える | ・色素細胞が炎症によるダメージで機能が回復しないまま発毛する為おこる |
①頭皮の毛穴から産毛が生えてくる
回復期には、産毛が「生えては抜けるサイクル」を何度も繰り返します。
もともと生えていたような太い毛が再び生えてくるのではなく、細い産毛が生えてきます。
産毛が生えては抜けるサイクルは、円形脱毛症の回復が進み、髪の毛が正常状態のサイクルへ戻り始めることで髪の毛が増えてくるサインです。
髪の毛を作る細胞が活発になることで次第に毛根が太くなり、回復期には簡単に抜けなくなります。
②頭皮がかゆくなる
回復期にさしかかると発毛に関わる細胞が活発に働きはじめ、血液のめぐりが良くなることで頭皮がかゆくなることがあります。
なお、まれですが円形脱毛症を発症する前にかゆみを感じる方もいます。
③白髪が増える
円形脱毛症が回復してきて発毛が始まると、白髪で発毛することが多くあります。
この現象は、髪の毛を育てる細胞と髪の色素を作る細胞が異なるために起こります。
はじめは髪の毛を育てる細胞の回復が優先され、髪の色素を作る細胞の回復は後回しになります。
髪の色素を作る細胞は、髪の毛の成長が進めば徐々に回復していきます。
回復が進むことで髪の色素を作る細胞の働きが戻ると、元の黒い髪が生えてきます。
(※元々の白髪は改善しません)
当院の円形脱毛症治療
ここからは、当院で行っている全頭型円形脱毛症の治療について解説していきます。
円形脱毛症は炎症が起きていることで髪が生えにくく、放置しておくとそのまま生えてこない状態が続くことも多くあります。
当院では、髪の専門クリニックとして円形脱毛症を抑える治療および発毛を促す治療同時をで行っていきます。
皮膚科治療では、液体窒素やかぶれ療法、フロジン液などの治療が行われることがあります。
単発型でコインサイズの場合は治ることもありますが、全頭型に進行した場合はこれらの治療では改善しない場合がほとんどです。
当院では独自のメソッドで、治療を行っていきます。
ステロイド注入は有効ですが、全頭型ですと脱毛範囲が広範囲に及ぶため、注入範囲も広くなってしまいます。
その為、疼痛があまりに強く続けられなかったり、皮膚陥没などのリスクが数倍に跳ね上がるなどのリスクが伴います。
当院の治療では、ステロイドだけではなく独自の薬液配合を行うことでより効果的かつ低リスクな治療を提供しております。
また、注入方法に関してもこだわりを持っております。
最新のマシンを導入し、頭皮に対して均等に細かく、広範囲に痛みない注入治療を行っております。
当院では日々多くの患者様に注入治療を行っておりますが、現段階で明らかな皮膚陥没や色素沈着などの副作用は起きておりません。
また、痛みについては小児の患者様でも泣かずに受けられるほど軽いため、こちらもお喜びいただいております。
全頭型脱毛症は極めて難治性のため、1つだけの治療を行っていても生えにくいです。
効果的な治療を複合的に行うことが大切です。
当院の治療は効果的でありながら、副作用がおきにくい治療となっております。
円形脱毛症の回復にかかる期間
結論から言うと、円形脱毛症が治るまでの期間は、症状の程度によって個人差があります。
円形脱毛症が発症して長い時間が経過している場合や、脱毛部位の範囲が広がっている場合、治療に時間を要したり回復が困難なケースがあります。
円形脱毛症は重症化するほど回復が困難になるため、発見したらすぐに治療を始めることが重要です。
回復までの期間が分からないことで不安に感じると思いますが、だからこそ症例数が多く、知見のある専門クリニックに受診することが大切です。
焦らず、経過を見ながら治療を続けましょう。
円形脱毛症の回復の兆しがあるときにしてはいけないことや注意点
円形脱毛症に回復の兆しが見えてきた場合でも、日常生活で頭皮にダメージを与えないようにすることが大切です。
円形脱毛症の回復期において注意するべきことは以下の4点です。
- パーマやカラーをしない
- 頭皮を掻かない
- ストレスを蓄積しない
- 丁寧に洗髪する
①パーマやカラーをしない
円形脱毛症を隠すためにパーマやカラーをしたいと考える方もいるでしょう。
しかし、パーマ液やカラー液は髪の毛や頭皮に負担をかけます。
頭皮が荒れてしまったり、かゆみや湿疹が出てしまったりすることもあります。
最近では髪の毛や頭皮にやさしい商品や天然成分主体のカラー液などもありますが、円形脱毛症が治らないうちは、パーマやカラーは控えるのが望ましいです。
②頭皮を掻かない
円形脱毛症の回復期において、新しい毛が生えてくると頭皮がかゆくなることがあります。かゆみに我慢できずに爪を立てた状態で掻くと、頭皮が傷ついてしまい、円形脱毛症の回復を妨げる恐れがあります。
治療の副作用としてかゆみを引き起こしている場合もあるため、我慢ができない場合には医師に相談しましょう。
なお、患部を冷やすことで一時的ではありますがかゆみを抑えられます。保冷剤をタオルでつつむなど、冷やしすぎにはくれぐれも気をつけてください。
③ストレスを蓄積しない
ストレスを蓄積することは、健康面にだけでなく頭皮においても悪影響を及ぼします。
ストレスは血行不良を引き起こし、円形脱毛症の回復を妨げてしまう恐れがあるためです。
頃のストレスの影響で交感神経が緊張して血管が収縮するというのです。その結果、頭部への血流が悪くなり、毛根への栄養補給ができずに脱毛するというわけです。
引用元:健康の森[日本医師会ホームページ]円形脱毛症
上手な隠し方を見つけ、脱毛症に意識をとらわれすぎないよう工夫して過ごしましょう。
④丁寧に洗髪する
丁寧にシャンプーを行い、頭皮を清潔に保ちましょう。
抜け毛を恐れてシャンプーをする回数を減らす必要はありません。
むしろシャンプーをしないでいると、毛穴にホコリや汗など汚れが詰まりやすくなります。
毛根には皮脂分泌腺がありますが、毛穴が詰まってしまうと脂分が外に出られなくなり、血管から必要な栄養素も受け取れなくなります。
シャンプーで抜け毛がでるのではと恐れてしまうかもしれませんが、シャンプーを2日に1回にしたところでその1回でまとめて抜けるだけです。
ただし、過度な洗髪は必要な皮脂まで落としてしまうので、1日1〜2回の洗髪に留めましょう。
日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドラインが定めるNG治療
「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017年版」における診療方法の推奨度の分類において、「行わないほうがよい(有効のエビデンスがない、あるいは無効であるエビデンスがある)」とされている内容は以下のとおりです。
引用元:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
- レーザー治療、PDT
- シクロスポリン A 内服療法
- 分子標的薬の全身投与
- 漢方薬療法
- 抗うつ薬、抗不安薬の内服
- タクロリムス外用療法
- プロスタグランジン製剤の外用療法
- ビタミン D 外用療法
- レチノイド外用療法
- 催眠療法
- 心理療法
- 星状神経節ブロック療法
- Platelet rich plasma 療法
- アロマテラピー
- 鍼灸治療
以上の診療方法は、円形脱毛症の回復に対して医学的根拠がないとされています。
まとめ|円形脱毛症は医師への相談で早期回復を目指しましょう
円形脱毛症は脱毛範囲にかなり個人差が現れます。
10円サイズのこともあれば、ほぼ全身すべて脱毛することもあります。
どの症状まで進行するかも個人差があります。
当院では円形脱毛症専門クリニックとして知見が多いため、まだ病型が確定してない急性期からの病状の予測および適切な治療を行っております。
症状が固定化してからの治療も可能ですが、早期の治療開始が改善を早める一因となることが多くあります。
実は、円形脱毛症治療を行っている毛髪クリニックは少ないのが現状です。
理由は、予後の推測が難しく、一人一人に寄り添うことが難しい為です。
当院では経験豊富な医師と、毛髪診断士の資格を有するカウンセラーが在籍しており、日々難しい脱毛症のご相談に向き合っております。
また半数程度の患者様が、皮膚科で治らなかった等のセカンドオピニオン目的で来院されております。
お一人で悩まず、気軽にご相談ください。