全頭型脱毛症は汎発型脱毛症と並び、円形脱毛症の中でも最重症のタイプです。
脱毛部の炎症が非常に強く短期間で急速に拡大し、発症すると極めて難治性なのが特徴です。
多発型の円形脱毛症だと思っていても、その後異常な抜け毛が続き1~2週もすると全体的な脱毛に症状が進んでしまいます。
通常円形脱毛症は10円ハゲ、100円ハゲといわれるように、部分的な脱毛になることが多いです。
円形とつくだけあり、円形状に抜けるイメージがあると思います。
全頭型脱毛症では全頭に脱毛が及びます。最悪のケースではスキンヘッド状になり、毛髪がほとんどなくなってしまいます。
円形脱毛症という名前がついてますが、全頭型になった場合はもはや円形の脱毛斑ではなくなってしまいます。
はっきりとした治療が確立されていない為、皮膚科で治療しても思うように治らず途方に暮れて当院へお越しになる方も多くいらっしゃいます。
そこで今回は、全頭型の円形脱毛症について詳しく解説していきたいと思います。
【監修】
リバイブAGAクリニック院長 内富 一仁
東北大学卒業後、名古屋セントラル病院にて従事。その後、都内AGAクリニックにて院長を勤めた後、リバイブAGAクリニックを開院。
全頭型脱毛症とは?
全頭型脱毛症は、円形脱毛症の一類型として知られています。
円形脱毛症は10円ハゲと呼ばれることもあるため、硬貨大の脱毛斑(だつもうはん・抜け毛が起こった箇所)をイメージされる方も多いのではないでしょうか。
円形脱毛症にはさまざまな種類があり、脱毛斑の大きさや数は人によって異なります。
円形脱毛症の症状は、悪化と回復を繰り返しながら、徐々に重症化していくケースもあります。
全頭型脱毛症にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
- 頭部の一部分でなく、極めて広範囲に脱毛。重症例ではほぼ100%抜けてしまう。
- 老若男女問わず発症し、体毛の脱毛が見られる汎発型脱毛症に移行するケースも多い。
円形脱毛症の最も重篤な進行状態の1つ
全頭型脱毛症は円形脱毛症の一種ですが、円形脱毛症の進行状態の中で、最重症の1つです。
頭部の一部ではなくてほぼ全域に脱毛が広がります。
同じ全頭型脱毛症の中でも脱毛部位は全頭に及ぶものの、まだら状に毛髪が残るケースや、スキンヘッド状になってしまう方まで千差万別です。
円形脱毛症は大きく分けると、次の5つに分けられます。
- 単発型
- 多発型
- 蛇行型
- 全頭型
- 汎発型(汎発性脱毛症)
単発型の円形脱毛症はいわゆる10円ハゲと呼ばれるタイプで、円形もしくは楕円形の脱毛斑が1カ所見られることを指します。
10円ハゲが複数見られる例が多発型で、単発型から移行するケースもあります。
全頭型になると頭部全体に抜け毛が見られます。
そして、最も重症例の円形脱毛症の1つが全頭型脱毛症です。
日本皮膚科学会の円形脱毛症ガイドラインによると、脱毛の範囲が25%を越えた場合が重症とされています。
その場合、かつらやウィッグなどを利用し、長期的な治療を続けていく必要があります。
参照:日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
当ページは全頭型の円形脱毛症について解説した記事となっております。
円形脱毛症の記事を初めてご覧になる方や、一般的な円形脱毛症の概要を知りたい方はこちらもご一読ください。
全頭型脱毛症の原因
全頭型円形脱毛症の原因については未だ未解明な部分も非常に多いです。
ただし全頭型円形脱毛症は円形脱毛症の一種である為、下記4つが主な原因だと考えられています。
- 自己免疫疾患
- 遺伝
- アトピー
- ストレス
近年になって有力視されている「自己免疫疾患説」を中心に全頭型脱毛症の発症リスクを高める要因となり得る原因について解説します。
自己免疫疾患
全身脱毛症(汎発性脱毛症)を始めとした円形脱毛症の原因として、自己免疫疾患が主な要因として考えられています。
自己免疫疾患とは、本来であれば私たちの身体を守るべき免疫機能に誤作動が生じ、自身の細胞が侵される疾患を意味します。
全身脱毛症(汎発性脱毛症)の場合、外部からの侵入者を攻撃するはずの免疫系が、頭髪や体毛の毛包を侵し始めます。
その結果、健康なはずの頭髪や体毛が抜けて脱毛が進行してしまうのです。
自己免疫疾患では、甲状腺機能低下症(橋本病)や全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチがよく知られています。それらの自己免疫疾患と、全身脱毛症(汎発性脱毛症)を併発するケースも珍しくありません。
遺伝
全身脱毛症(汎発性脱毛症)を引き起こす原因として、遺伝の存在も挙げられています。
親と子では骨格や顔立ちが似通っていますが、抜け毛を引き起こすような体質も受け継がれるのではないかと考えられています。
中国で行われた調査によると、円形脱毛症を発症している方のおよそ8%が、同じ症状を抱えた近親者を持つと報告されています。
参照:The genetic epidemiology of alopecia areata in China
欧米で行われた調査でも、両親が円形脱毛症を発症している場合、祖父母や兄弟姉妹が円形脱毛症を発症している場合と比べ、発症リスクが10倍にも跳ね上がるといった報告もなされています。
これらの調査から、全身脱毛症(汎発性脱毛症)の発症には、遺伝がある程度は影響しているのではないかと考えられています。
参照:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
アトピー素因
全身脱毛症(汎発性脱毛症)を始めとした円形脱毛症には、アトピー素因が深く関わっていると考えられています。
アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎といった疾患を自分自身、もしくは家族が持っていることを意味します。
アトピー素因はある程度、遺伝によって受け継がれると考えられています。
そのため、自分自身や家族が上記の疾患を持っている場合、全身脱毛症(汎発性脱毛症)の発症リスクも高くなるのです。
実際に、円形脱毛症を発症する患者200例のうち以下のような調査結果もでています。
患者本人に アトピー素因があるものが 82 例(41%)
引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
ストレス
「円形脱毛症といえばストレスが原因」と考える方も多いでしょうが、実はストレス事態に直接的な因果関係はないとされています。
ただし、円形脱毛症の患者様は精神的ストレスを合併しているケースが多いことも事実です。
現在では、強いストレスにより自己免疫疾患を起こし、円形脱毛症を発症するのではという考えが一般的です。
全頭型脱毛症の回復率は低い
全頭型脱毛症を発症した場合、回復率は低いです。
軽症例である単発型円形脱毛症の場合、およそ80%の方が1年以内に回復するとされているのに対し、重症化した円形脱毛症の患者について以下のように考えられています。
14%~25%は全頭型や汎発型へ移行し、その場合には回復率は10%以下
引用元:日本皮膚科学会ガイドライン「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
また、全頭型円形脱毛症は再発の可能性も高く、再発のたびに重症化するケースもあります。
実際、円形脱毛症の症状が回復したとしても、およそ14%から25%の方が、全頭型円形脱毛症もしくは全身脱毛症(汎発性脱毛症)へと進行するといったデータがあります。
基本的に円形脱毛症は、脱毛範囲が狭いほど予後は良好です。
しかし、脱毛が全身に進行した場合や、15歳未満で発症した場合、回復率は低いとされています。
日常生活に及ぼす影響
脱毛部位が頭部全頭に及んでしまうと、脱毛斑を隠すのが難しくなり、社会生活やQOLに大きく影響します。
仕事や学校にいきたくない、鬱およびうつ状態になる人、あきらめてスキンヘッドにする方もいらっしゃいます。
長期化する場合にはウィッグを活用する方も多いです。
全頭型円形脱毛症の治療法
円形脱毛症は症状や年齢によって受けられる治療法が異なります。
円形脱毛症の治療で一般的に行われてる治療は次の通りです。
- ステロイド療法
- 局所免疫療法(かぶれ療法)
- 紫外線療法
- 液体窒素療法
ここからはそれぞれの治療法を詳しく解説します。
治療法①ステロイド療法
局所注射や外用薬、内服薬などの種類があり、症状や年齢によって推奨される治療法は異なります。
ステロイド療法の種類 | 特徴 |
局所注射 | ・円形脱毛症の診療ガイドラインでもっとも推奨度が高い ・原則として子どもへの治療は行わない |
外用薬 | ・比較的簡単にはじめられる ・子どもへの治療可 |
内服薬 | ・円形脱毛症の発症後6ヶ月以内であり、症状が急速に進行している場合に推奨される ・子どもへの治療不可 |
局所注射は、注射した部位のみ発毛効果が認められる治療法です。
よって脱毛斑が広範囲に及ぶ蛇行型では、その他の治療法との併用が推奨されます。
欠点としてステロイド外用だけでは効果が弱すぎることがあげられます。
小さい単発型脱毛症では治りえますが、全頭型の場合はほとんど回復がみられません。
ステロイド局所注射ですが、効果自体は一番効果的です。
しかし、リスクも多く注入時の激しい疼痛や、通常の注入方法では脂肪層が委縮して皮膚陥没を引き起こす場合があります。
一番の問題は、皮膚陥没が起きてしまうと頭皮状態が著しく悪化してしまい、何をしても生えてこない状態に陥るリスクを引き起こしてしまいます。
効果自体は高いのですが不可逆的変化を生むことがあります。
ステロイド内服ですが、最終手段の1つです。
基本的に行われることがありませんが、大学病院などで重症例の治療として行われることがあります。全身副作用がでうるのが最大のデメリットです。
治療法②局所免疫療法
局所免疫療法とは、化学試薬で人工的にかぶれを起こし、免疫反応を抑えることで発毛を促します。
脱毛部位にかぶれを起こす治療になるため、患部がただれてしまうなど極めて侵襲が強いのが特徴です。
数回ですと問題ないことが多いですが、かぶれ療法を行う方はそもそも重症なことが多く、繰り返すと月のクレーターのように頭皮にぼこぼこした瘢痕(傷が固くなる状態)を起こすこともあります。
上記のような状態になってしまうと、毛根自体へのダメージが強くなり以降の治療効果が出にくくなるというリスクが生じます。
治療法③紫外線療法
紫外線療法とは、脱毛斑に紫外線を照射し、免疫反応を抑える治療法です。
紫外線の波長の長さによって次の種類に分けられます。
紫外線療法の種類 | 特徴 |
PUVA療法 | 波長の長い紫外線(UVA)を照射する |
ナローバンド療法 | 波長が311nm付近の紫外線(UVB)を照射する |
エキシマレーザー療法 | 波長が308nmの紫外線(UVB)を照射する |
PUVA療法は蛇行型をはじめ、全頭型や汎発型など重症度が高い患者様に行われるのが一般的です。
週2程度の通院治療が必要なうえ、治療期間がかかる割にはステロイド注入などと比べて治りにくい、また色素沈着をきたすリスクなどがあります。
治療法④液体窒素療法
ドライアイスや液体窒素で脱毛部位を冷却し、免疫反応を抑える治療法です。
一般的には単発型や多発型向けの方法ですが、重症度の高い円形脱毛症ではその他の治療法との併用で行われる場合があります。
よく行われる治療ですが、ステロイド注入と同じく瘢痕化のリスクがございます。
50回に及ぶ液体窒素治療で瘢痕化した頭皮
全頭型の円形脱毛症治療|通常かかる治療期間や予後について
全頭型の円形脱毛症は、治療が長期に及ぶケースが多いです。
症状には個人差があるため具体的な期間は申し上げにくいのですが、患者様の中には通常の治療ですと治らないケースや完治までに数年かかる方もいらっしゃいます。
また、重症化するほど治癒までの期間は長くなる傾向にあります。
当院は円形脱毛症専門クリニックとして、毎日のように円形脱毛症の患者様が来られますが、それでも全頭型の場合は細心の注意をもって診察し、より丁寧に説明し治療にあたらせていただいております。
全頭型など重症化した円形脱毛症は、一部が脱毛しているのではなく、一部だけ生えているレベルになってくるため、そもそも治るかどうかが難しいケースもございます。
しかし、当院で治療にあたられた全頭型脱毛症の患者様の多くに改善が見られます。
全頭型脱毛症が、より重症度の高い汎発型脱毛症になってくると治療経過は変わってしまいます。
発症後は早めにきちんとした治療を行うことが大切です。
当院の円形脱毛症の症例につきましてはこちらをご参照ください。
全頭型の症例は下記にも掲載がございます。
リバイブAGAクリニックでの円形脱毛症の治療
ここからは、当院で行っている全頭型円形脱毛症の治療について解説していきます。
円形脱毛症は炎症が起きていることで髪が生えにくく、放置しておくとそのまま生えてこない状態が続くことも多くあります。
当院では、髪の専門クリニックとして円形脱毛症を抑える治療および発毛を促す治療同時をで行っていきます。
皮膚科治療では、液体窒素やかぶれ療法、フロジン液などの治療が行われることがあります。
単発型でコインサイズの場合は治ることもありますが、全頭型に進行した場合はこれらの治療では改善しない場合がほとんどです。
当院では独自のメソッドで、治療を行っていきます。
ステロイド注入は有効ですが、全頭型ですと脱毛範囲が広範囲に及ぶため、注入範囲も広くなってしまいます。
その為、疼痛があまりに強く続けられなかったり、皮膚陥没などのリスクが数倍に跳ね上がるなどのリスクが伴います。
当院の治療では、ステロイドだけではなく独自の薬液配合を行うことでより効果的かつ低リスクな治療を提供しております。
また、注入方法に関してもこだわりを持っております。
最新のマシンを導入し、頭皮に対して均等に細かく、広範囲に痛みない注入治療を行っております。
当院では日々多くの患者様に注入治療を行っておりますが、現段階で明らかな皮膚陥没や色素沈着などの副作用は起きておりません。
また、痛みについては小児の患者様でも泣かずに受けられるほど軽いため、こちらもお喜びいただいております。
全頭型脱毛症は極めて難治性のため、1つだけの治療を行っていても生えにくいです。
効果的な治療を複合的に行うことが大切です。
当院の治療は効果的でありながら、副作用がおきにくい治療となっております。
全頭型脱毛症の治療症例
まとめ|全頭型の円形脱毛症は当院へご相談ください
いくつか種類がある円形脱毛症のうち、全頭型脱毛症は症例数が少ないタイプです。
急激に進行したり治らないで苦しんでいる方も多くいらっしゃいます。
当院は重症例の全頭型脱毛症の方も多く治療しています。
診察相談は無料で承っております。お一人で悩まずにどうぞお気軽にご相談ください。