つむじ周辺の薄毛を改善するには、まず薄毛が進行している原因を特定することが大切です。

ひと口につむじの薄毛といっても、円形脱毛症を発症している場合もあればホルモンや遺伝による薄毛の可能性もあります。原因によって対処法も異なるので、それぞれの特徴や症状について正しい理解を深めましょう。

この記事では円形脱毛症とつむじの薄毛の違いや見分け方を解説します。

円形脱毛症とは｜円形または楕円形の脱毛斑ができる疾患

円形脱毛症は、頭部または体に円形の脱毛斑が前触れなく現れる疾患です。

頭部でもっとも脱毛斑ができやすいのは後頭部ですが、側頭部（とくに耳の後ろ）や頭頂部にできる場合もあります。

円形脱毛症は年齢や性別、国籍を問わず一定の割合で起こりうるもので、全人口の1〜2％に出現すると推測されています。

円形脱毛症の特徴

円形脱毛症は、脱毛斑の個数や広がり方によって大きく5つの種類に分類されます。

種類	特徴
単発型	脱毛斑が1ヶ所に現れる
多発型	脱毛斑が複数現れる
蛇行型	側頭部から後頭部に向かって帯状の脱毛斑が現れる
全頭型	頭部全体に脱毛斑が広がる。最終的に髪の毛がすべて抜け落ちる
汎発型	髪の毛だけでなく眉毛やまつ毛、陰毛など体毛が抜け落ちる

円形脱毛症と聞いて硬貨大の脱毛斑（いわゆる10円ハゲ）をイメージする方は多いですが、患者様によって脱毛が広範囲に及ぶケースもあります。

円形脱毛症の症状

円形脱毛症になると、まず前触れなく抜け毛が増加します。

ブラッシング中や枕に付着した抜け毛の量は、円形脱毛症を疑う目安となります。脱毛斑の境目がくっきりしたことで円形脱毛症を確信したという患者様は多いです。

円形脱毛症の進行中、脱毛斑の周りの髪の毛は力を入れなくても簡単に脱毛します。この時、髪の毛を引っ張っても痛みはありません。

髪の毛以外では、爪の表面が凸凹するのも円形脱毛症の初期症状の一つです。

円形脱毛症は前兆がほとんどないので、脱毛斑の存在に気づいてから円形脱毛症を自覚される患者様が多くいます。中には家族や知人から指摘されて気がついたという方もいるほどです。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因には次のものがあります。

1. 自己免疫疾患
2. 遺伝
3. 精神的ストレス
4. アトピー素因
5. ホルモンバランスの変化

自己免疫疾患は、免疫系機能が誤作動を起こすことで自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう疾患です。

円形脱毛症においては、何の異常もない毛包が敵とみなされ、ダメージを受けることで脱毛斑ができると考えられています。

また、アトピー性皮膚炎や気管支炎、アレルギー性鼻炎などを持っている方も円形脱毛症になりやすいと言われています。これらの疾患は遺伝する確率が高いので、家族がアトピー素因であれば円形脱毛症になりやすい体質といえるでしょう。

これまで、円形脱毛症はストレスによって引き起こされると考えられてきました。しかしここ最近は考え方が少し変わりつつあり、ストレスは直接原因ではなく発症のきっかけに過ぎないという見方が強くなっています。

円形脱毛症とつむじはげの違い

円形脱毛症の発症には、自己免疫疾患やアトピー素因などが深く関係します。

脱毛斑ができる部位は人それぞれですし、自然治癒する場合もあれば脱毛斑が増加するケースもあります。

一方つむじの薄毛が進行するのは、男性ホルモンや生活習慣の乱れ、誤ったヘアケアなどが原因です。男性の場合まず疑われるのはAGA（男性型脱毛症）で、こちらは悪玉男性ホルモンと遺伝がおもな原因と考えられています。

見た目の違いとしては、円形脱毛症の方が脱毛斑の境目がはっきりしているのが大きな特徴です。AGAはつむじだけがくっきり脱毛するというよりも、つむじを中心に薄毛がぼんやりと広がっていくようなイメージです。

また、AGAの場合はつむじ以外にも前頭部（生え際）の薄毛が進行するケースも多く見られます。

女性の場合、びまん性脱毛症や産後脱毛症によりつむじが薄くなることがあります。男性の脱毛症と同様、くっきりとした脱毛班ではなく、ぼんやりと薄毛部位が広がります。

円形脱毛症とつむじの薄毛はそもそもの原因が異なり、発症年齢や性別にも違いがあります。円形脱毛症がつむじにできることはあっても、それ自体はAGAによるものではありません。

外見で見分けがつきにくい時は自己診断せず、できるだけ早く専門医に相談することをおすすめします。

円形脱毛症とつむじはげの治し方

円形脱毛症とつむじの薄毛はそもそもの原因が異なるため、治療法もそれぞれで異なります。

円形脱毛症の治療法	つむじの薄毛の治療法
・ステロイド療法 ・局所免疫療法 ・外用薬 ・冷却療法 ・紫外線療法など	・内服薬 ・外用薬 ・注入療法 ・植毛など

円形脱毛症の場合、根治のための治療法はまだ確立していません。

円形脱毛症診療のガイドラインでは複数の治療法についてまとめられていますが、エビデンスの乏しい民間療法は数多く存在します。（上記はガイドライン内で推奨されている治療法です）

症状や体質によって受けられる治療法は異なるので、詳しくは専門医へ相談するのがいいでしょう。

つむじの薄毛については、飲み薬や塗り薬で治療を行うのが一般的です。男女問わず使用できるのがミノキシジル外用で、AGAであればフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬を処方される場合があります。

生活面でできるケアだと、食生活の見直しや睡眠の質向上、ストレス解消なども有効です。

円形脱毛症やつむじはげは病院に行くべき？

「円形脱毛症かも？」「つむじの薄毛が気になる」と思った時は、まず医療機関を受診しましょう。

というのも、円形脱毛症は今は軽症でも時間の経過とともに脱毛斑が増えたり大きくなったりする可能性があります。患者様の中には、脱毛斑があることで人に会いたくない・外出したくないなどといった心理的負担が大きくなる方が多いでしょう。

つむじの薄毛もまた、人によっては大きなコンプレックスとなるものです。とくにAGAは進行性の脱毛症ですから、何も対処しなければ薄毛の範囲が広がってしまう恐れがあります。

円形脱毛症とつむじの薄毛が内臓の病気を引き起こすことはありません。よって、見た目が気にならなければ無理に治療を受ける必要はないでしょう。

反対に、脱毛斑や薄毛に少しでもストレスを感じるのであれば、できるだけ早く適切な治療を受けることをおすすめします。

円形脱毛症とつむじはげにまつわるよくある質問

最後は患者様から多く寄せられる円形脱毛症とつむじはげについてのご質問にお答えします。

まとめ：円形脱毛症やつむじはげで困った時は専門医に相談を

円形脱毛症とつむじの薄毛は、それぞれ原因や対処法が異なります。

症状の改善を目指すには、まず専門医に相談し適切な治療を受けましょう。